琉球コラソン3連敗、ホーム開幕戦白星で飾れず 日本ハンドボールリーグ

 

東江新監督「死の物狂いでやらないと」

味方の得点に沸くコラソンベンチ。中央は東江正作監督

 東江主将の父で、今季就任した東江正作監督にとっては、指揮官として迎える初のホーム戦となった。是が非でも勝ちたい一戦だっただけに、試合終了後、マイクの前に立った東江監督は沈痛な表情を浮かべ、数秒沈黙した後に「本当に申し訳ございません」と頭を下げた。

 敗因の一つに挙げたのは先行を許した立ち上がりだ。「そこから追い付いて、ひっくり返して、かなりエネルギーを使ってしまった。チーム状況が悪く、前半で多く田場を投入せざるを得なかった部分もある」とゲームプランが崩れてしまったことを明かした。

 接戦の中で「あと1本」を決められなかったことも大きい。「決めるべきところで決め切れなかった。もっと戦う姿勢を出していかないといけない。死の物狂いでプレーしないと、どのチームに対しても厳しい戦いが続いてしまう」と語り、選手たちに激しさを求めた。

田場、親族に「立ち直った姿見せたかった」

 敗戦の中、光を放った田場には強い決意があった。「僕が13年前にアルコール依存症になった時、両親が助けてくれて、病院に入院させてくれた。支えてくれた方達にちゃんと依存症から立ち直ったということを証明したかった」

 元日本代表で、昨夏の東京五輪で優勝したフランスのリーグでも活躍した経験を持つ。帰国後にコラソンのGMとなり、選手兼監督として牽引したが、運営の難しさからアルコール依存症に。その後、長い時間をかけて社会復帰し、今季ついにコーチ兼選手として復帰した。

激しいプレッシャーを受けながら、隙間を縫ってシュートを放つ田場裕也

 この日は依存症と戦った期間、自身を支え続けてくれた両親ら親族、彼女が観戦に来てくれていたという。得点を決め、スタンドへガッツポーズしながら吠える場面もあった。試合後、汗を拭いながら「再びコートに立たせてくれたことにすごく感謝している。その気持ちでプレーしていた」と振り返った。

 スター選手として歩んできた自身の経歴を踏まえ、若い選手たちとプレーしていて感じるのは「目標が低い」ということだ。「同じ練習をしていても、目標が低いと辿り着ける場所も低い。メンタルを強くしないと、勝ち癖はつかない。練習でも、試合でも、プレーで見せながら教えていきたい」と力強く語った。

 今季で創設15年目の節目を迎えるコラソン。まだ1勝は遠いが、来年3月までに全22試合を戦うレギュラーシーズンはまだ始まったばかり。昨季は4勝15敗1分で12チーム中10位と低迷しているだけに、早く連敗から抜け出して浮上したいところだ。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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