ペルー県系社会に「市町村会」 郷土愛脈々受け継ぎ110年超
- 2020/8/30
- 社会
歴史や文化を紹介する市町村の展示ブース、OKINAMPIADAS
8月から10月は「OKINAMPIADAS(オキナンピアダス)」。OKINAWAとOLIMPIADAS(スペイン語でオリンピックの意味)をかけて、若者主体で沖縄の人たちのオリンピックを開催している。オキナンピアダスは3日間続き、ゲームやスポーツ、料理、展示など各市町村が色々な分野で対抗しながら、交流を深める。
中でも興味深い取り組みが最終日にある「各市町村の展示ブース」。採点のポイントは「それぞれの街の歴史や文化を表現したブースを展示しているか」だという。
2015年に優勝した浦添同士会の展示ブースが見事。浦添市役所や美術館を作り、まるで小さなリアル浦添。那覇市は沖縄のシンボル・首里城を制作して展示した。
細かい細工にどのくらいの時間を費やしたのだろう。ブースに立つ青年の真剣な姿や笑顔、展示ブースの中から放つエネルギーから市町村が好きだという気持ちが伝わってくる。制作から展示、発信までを通して、仲間や家族と一緒に楽しみながら沖縄や市町村について学んでいるようだ。
先祖の故郷で学べる研修
市町村愛が強く受け継がれている理由のひとつとして、各市町村が実施する「海外移住者子弟研修生受入事業」が挙げられる。
ペルーなど海外に住む子弟が数ヶ月間、祖先の故郷・沖縄を訪れ、沖縄や市町村の歴史、文化を学び、地域の人と交流を深める。子弟にとって貴重な経験となる。
彼ら彼女らは帰国後、沖縄県内の市町村とのパイプ役となって市町村人会や青年部の中心となり、イベントや行事で活躍。展示ブースでリアルな市町村を表現できるのは、研修で学んだ体験があるからこそだという。
小波津さんは「市町村人会の活動を通して、故郷とのつながりを感じている」といい、「この事業があることで、市町村人会の結束力は強まっている」と話す。ある市町村人会においては、役員の8割以上が研修事業の経験者という会もあるほどだ。故郷を訪れ、歴史や文化を実際に肌で感じることで地域への愛は高まり、帰国後の活性化につながっている。アイデンティティ継承、市町村人会の結束力に、この事業は深く関わっているようだ。