ペルー県系社会に「市町村会」 郷土愛脈々受け継ぎ110年超

 

各市町村独自のイベントや交流会

 ペルーにある市町村人会で特に結束力が高いのが北中城村人会である。小波津さんは笑いながら「北中城村は強い」と話す。特に青年部の活動が活発だ。

 青年部を中心に、毎年文化祭を開催。北中城の村章をステージの幕に貼り付け、沖縄の歌、三線、琉球舞踊やエイサー、ペルーの民族舞踊などを披露している。沖縄に研修に行って帰ってきた若者らは習った沖縄の伝統芸能を仲間に教え、それをひとつの演目として披露する。学びを還元する仕組みや機会が充実していることで、強い結束を維持している。

 他にも、遠足や新年会、忘年会など集まることが多いのがペルーの市町村人会である。

ペルー北中城村人会の文化祭(ペルー北中城村人会提供)

市町村人会の活動を通して、故郷とのつながりを感じている

 沖縄からペルーに移住した1世らは、沖縄だけでなく出身市町村のアイデンティティーも持ち、大切にしてきた。現在、世代の中心はすでに4世や5世の時代。100年以上という時の流れのなかで出身市町村への誇りとアイデンティティーが世代から世代へと代々受け継がれている。

 市町村を絡めた数々の取り組み、市町村人会独自のイベントや交流会など、あらゆる場所と場面で市町村に触れ合う機会を増やし、曽祖父母の故郷であり、自身のルーツでもある沖縄と市町村の情報を得ている。

 そして、故郷で学べる研修事業があることで歴史や文化を肌で学べ、さらに帰国後学びを還元する場所があるということも大きい。世代世代の中心メンバーとして、沖縄県内市町村とのパイプ役となり市町村人会を支えていく。ペルーの「市町村人会」には市町村人会の継続や発展において、参考にできる取り組みや仕組みが多く、知れば知るほど面白い。

 ペルーといえば、マチュピチュだけでなく、ペルーといえば沖縄愛、市町村愛!自身の市町村をこんなにも愛している彼らの存在をひとりでも多くの人に知ってほしい。

次ページ:
1 2 3

4


関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ