「沖縄に来てください」知事はメッセージ発信を! 夏場目前の沖縄観光に必要な事とは 沖縄ツーリスト東会長に聞く
- 2022/6/10
- 食・観光
「隣県割」などで機会損失
ーーー国にも支援を求めてきたと思いますが、どのような反応でしょうか。
「国の(近隣県への旅行を財政的に補助する)『隣県割』や『ブロック割』によって沖縄に行く予約がそちらに流れ、機会損失を起こしています。例えば関東の人が箱根に行ったら割引を受けられるんですから、それはそっちに行ってしまいますよね。大都市圏から離れた離島県にとっては非常に不利です。不公平な建て付けの制度が機会損失の温床になっています。地方のことは後回しということでしょうか」

ーーー集会では海外の支援事例も紹介していました。
「友人がフランス領のニューカレドニアでバス会社を経営していますが、国が最終損失の7割を補助してくれて、赤字にならないと話をしていました。3割分は企業の自助努力で経費削減をする。国の支援もあるけど、企業も努力する良いシステムだと思います。観光と農業が外貨の稼ぎ頭であるフランスでは政府の観光局ができたのが1910年で、日本は観光庁ができたのが2008年。98年間の積み重ねの違いが出ましたね」
観光収入1兆円蒸発 各産業に波及懸念
ーーー観光は様々な産業とのつながりが深いです。他産業への影響はどのように想定していますか。
「沖縄は県内総生産(GDP)に占める観光消費額の割合が20%くらいあって、全国でも突出して高い。この2年間で、あるはずだった観光収入の1兆円が蒸発したことで、沖縄経済の根幹が揺らいでいると思います。直接的な影響は観光事業者が最初の風を受けましたが、時間が経てば経つほど、製造業や建設業などにも大きな影響が出る。2021年の県内売上高ランキング上位100社(東京商工リサーチ沖縄支店調べ)の合計売上高は前年比で11%減少していましたが、今年の数字はさらに落ち込むと思います。決起大会は何も観光産業だけのために開いたものではありません。様々な産業が、観光収入が1兆円も蒸発してしまったことについて考えないと、不幸な人たちをたくさん生み出してしまいます」

ーーー6月中に那覇空港国際線の運用が再開する見通しです。
「空港の再開は決まりましたけど、国際便がいつ再開するかはまだ未定です。飛びたいと言っているアジアの航空会社はいるようですが、観光の入国は2国間の取り決めなので、交渉が今度どこまで進むか次第ですね。琉球王国時代、沖縄の港は人、物、金、情報がグローバルネットワークと繋がる拠点でした。沖縄こそ、万国津梁の心を持って一番最初に空港を開かないといけないと思います。国際線再開によってメリットがあるのは観光業だけではありません。各産業とも国際的な人流が再開すれば世界との交流が戻ってくるし、『学』の分野でも留学生が行き来できます」