「コロナ禍2年で1兆円蒸発」「もう限界」 沖縄観光事業者が総決起集会

 

フランスでは損失の7~9割補填

県や国の対応に苦言を呈す沖縄ツーリストの東良和会長

 沖縄ツーリストの東良和会長は、観光先進地とされるフランスの支援策を紹介。飲食や観光など業種での区別はなく、最終損失の7~9割を補填しており、最終損失への補填のため協力金によって黒字化する企業もないという。

 このような事例を県や国に伝えているが、事業化されることはなく、「他国の優秀な事例を研究し、勉強して日本に生かそうという動きもありません」と強く批判した。

 また、観光業が1次産業や2次産業とも繋がりの深い業態であることを念頭に「ここに集まっている人たちは県内の全産業のために戦っているんです。(観光業への支援がないという)問題は沖縄経済全体に関わることだと思いますので、ぜひご協力をお願いします」と沿道に呼び掛けた。

 その他、インバウンド事業を中心とするEGL OKINAWAの小島博子社長は、コロナ前に沖縄への外国人観光客が急増していたことを念頭に「この非常時に私たちは全く守られていません。インバウンドが復活した時に誰が受け入れるのでしょう」と疑問を投げ掛けた。

バスガイド従事者と集会に参加した県バス協会の小川吾吉会長

 県バス協会の小川吾吉会長は、この2年間の観光バス需要がそれ以前と比べて年間で約8割減となっていることを指摘し、さらにオミクロン株蔓延の影響で今年1、2月は90%以上、3月は80%、4月は50%以上がキャンセルになっていると現状を説明。3人のバスガイド従事者と共に参加し「ガイドさんは、お客さんがきた時のために今も一生懸命訓練を続けています。これを生かすためにも、県による真水の支援が必要だと思うんです」と強く訴えた。

「取り残さない」 OCVBの下地会長が応援演説

 集会には、県の外郭団体である沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の下地芳郎会長も応援者として参加した。

応援者としてマイクを握ったOCVBの下地芳郎会長

 マイクを握った下地会長は「沖縄の観光を取り戻していくためには、官民挙げての取り組みが不可欠です」と断言。2022年度から始まった県の新たな振興計画で「誰1人取り残さない社会を目指す」と謳われていることに触れ、「正にここに集まっている観光事業者の皆さんをしっかり支援していただきたい」と求めた。

 さらに、この日に政府が決定した今後10年間の沖縄振興策の指針となる「沖縄振興基本方針」で「強い沖縄経済を実現する」と明記されたことから、「国に対してもしっかり支援をしていただきたいと思っております」と語った。

 集会の最後には「観光事業者にも協力金を」「公平なコロナ支援策を」「観光業を取り残さないで」の3項目を全員で復唱し、拳を突き上げた。

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長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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