基地問題など意見交換 沖縄訪問の駐日米国大使
- 2022/4/28
- 政治
第31代駐日米国大使に就任したラーム・エマニュエル氏が27日、沖縄県庁に玉城デニー知事を訪ね、就任後初めてとなる会談で基地負担の軽減やウクライナ侵攻などについて意見交換した。冒頭のあいさつで、エマニュエル大使は「日米同盟は、これからの3年間で一緒に何をするのかが、今後の30年を決める。われわれには協力する責任がある」と述べた。
エマニュエル大使は、1993年~98年までビル・クリントン政権の主要メンバーとして政策・政治担当の大統領上級顧問を務めたほか、2008年11月から10年10月にはバラク・オバマ政権での大統領首席補佐官に就き、第55代シカゴ市長なども歴任した。
冒頭のみ公開された会談では、エマニュエル大使に花束が贈られ、玉城知事からは記念品として、首里城が描かれた琉球漆器の盆が手渡された。その後、エマニュエル大使は練習してきたという日本語で「ありがとう。私はラーマ・エマニュエルです。駐日米国大使です」とあいさつした。
また、沖縄戦最後の激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念資料館などを訪れたことも紹介し、「また戻ってこなければいけないと思っている。1回の訪問では十分ではない」と語った。「沖縄、日本、アメリカが1945年から築き上げてきたものに畏怖の念を抱いた」とも述べた。
会談後の会見で玉城知事は、国土面積の約0.6%の沖縄に、全国の約70%の在日米軍専用施設がある状況を踏まえ「やはり沖縄から基地を減らすことが重要だとお伝えした」と説明した。辺野古移設など個別の問題については互いに言及しなかったという。
玉城知事は、辺野古移設の問題を提起しなかったことについて「普天間飛行場や辺野古移設が解決すれば(基地問題が)終わりということになりかねない」と説明した上で、「沖縄の基地問題は日米同盟にとって解決するべき重要な要素だということを伝えた」と強調した。
それに対して、エマニュエル大使は▽米軍は良き隣人でなければならない▽海兵隊のグアム移転を考えている▽沖縄は日米にとって戦略的に重要な場所にある―との3点について言及したという。玉城知事は、お互いに信頼関係を築き、対話を続けていこうということで意見が一致したと説明した。
記者団から、エマニュエル大使が行った「今後の3年間が30年を決める」との発言について問われた玉城知事は、「中国の台頭などが、岐路に立っているという認識だと思う。この3年間の日米関係、インド太平洋における日米間の協力が地域の30年を決めるという意味ではないか。3年間が互いにとって大事だということだと思う」と述べた。
赤嶺県議会議長とも面談
エマニュエル大使は同日、沖縄県議会の赤嶺昇議長とも面談した。赤嶺議長は面談後に記者会見し、米軍普天間飛行場の危険性やPFOSの問題などを提示したと説明した。大使は「軍関係者に会うので、伝える」と応じたという。
赤嶺議長は、大使の印象について「率直に物を言って率直に答える人。向こうの立場もあると思うが、あとは人間関係を作れるかどうかだと思う。私はそこをやりたいと思っている」と語った。
辺野古移設について玉城知事が言及しなかったことについては「フレンドリーになるのは良いが、遠慮しすぎではないか。知事を支えている立場の皆さんから見たら」と苦言を呈した。
(記事・写真 宮古毎日新聞)