小麦価格高騰で沖縄そばへの影響は?複雑な価格設定事情

 

 小麦価格の高騰で、県民食と言っても過言ではない沖縄そばの値上がりが始まっている。農林水産省は輸入小麦の政府売渡価格を今年4月期で72,530円/トンに改定。令和3年10月期と比べて17.3%の引上げとなった。2008年10月期に次ぐ高値がついており、そば粉を使わず小麦粉から作られる沖縄そば麺の価格上昇は避けられない。沖縄生麺協同組合の伊波興健副理事長は「1円でも値上がりしてしまうのが申し訳ない」と歯がゆさをにじませている。

北米産の小麦が不作

 日本の小麦自給率は13%(2016年、農水省)で、国内消費の大半を外国産に頼っているため、供給を安定させるために政府がまとめて海外産の小麦を輸入、製粉会社などに販売している。沖縄県内では沖縄製粉株式会社が有名だ。

 輸入小麦の供給元は米国、カナダ、オーストラリアで、そういった意味では沖縄そばの現在の“出身地”はこの3か国が主だと言える。

 価格高騰の要因としては①北米産小麦の不作②小麦品質低下で、日本が求める高品質小麦の価格帯が上昇③ロシアの輸出規制やウクライナ情勢の供給懸念で国際価格が全体的に上昇-の3つが挙げられている。今よりさらに小麦が高値を付けた2008年は、生産国での干ばつや原油価格上昇が主な理由だった。

(イメージ写真)

10円と言えども…

 小麦価格が上昇すると、当然小売価格に転嫁せざるを得ない。株式会社ふてんま製麺の社長でもある伊波副理事長によると、県内でも去年から沖縄そば麺の値上げは徐々に始まっているという。「今より1割ちょっとは価格が上がると思います。1玉でいうと10円から15円ほどでしょうか」と伊波副理事長。一口に10円や15円と言っても、伊波副理事長はこんな懸念を口にする。「80円や90円だったものが100円を超えてしまうと、桁が増えますからね。申し訳ないです」

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