ひとり親世帯へキャンプ体験支援 佐喜真さん夫婦

 

学校現場の限界をフォロー

 菜々子さんは、大学を卒業後、教員として沖縄県内の高校と小学校に合計5年間勤務した。教職員時代を振り返り、「教職員は多大な仕事量に追われ、教育現場で体験活動を計画・実行するのが困難な状況でした」と指摘する。

 「教育のトレンドはすでに知識から知恵習得型へ移行し、体験活動の教育的意義は、教育現場ですでに重要視されてきました。学校現場外にいる大人がフォローし、子ども達に体験活動の機会を与える意義は大きいです」と体験活動の必要性を話す。  

 キャンプ用品や情報・知識は手軽に入手できるが、いざ自然の中で実践してみると知識や情報だけでは上手くいかないことばかり。「バーチャル体験」「知っているつもり」が多い現代の子ども達にこそ、他者とつながり課題に取り組み、直接体験によって失敗しながら生み出す力が必要だと話す。

「一人一人ができることを」

 庸市さんと菜々子さんの目標は、これまで体験活動を諦めていた人々にも体験の輪が広がり、社会全体でその環境・機会をつくろうとする雰囲気・体制につなげることだ。

「子ども達を取り巻く諸問題に向き合うのは専門機関だけではありません。行政・教育機関の体制が整うまで待つのではなく、まずは『できる人が、できる時に、できることを』して変えていくことが重要です」と菜々子さんは、意識を持つことの大切さを挙げる。

 現在、食材を提供する農家など支援の輪が広がりつつあるという。菜々子さんは「この取り組みは、子どもを取り巻く社会課題に対しての直接的な対策にはならないかもしれません。しかし、これからの沖縄を守り、創っていくために必要なスタートであると考えています」と行動に踏み出している。          

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