沖縄が国内マリンスポーツ中心地を静岡に明け渡してしまった理由

 

 沖縄は長年水不足に悩まされていたことと、経済資本の投下が遅れたことからプールの設置が遅れ、その結果として水泳教育も遅れてしまった現状があったという。

「先生たちが泳げず、苦手意識が強いということもあります。プールがなかったので努力しようにもどうしようもできなかったはずです。子どもたちが海で遊んで自分で泳げるようになっているのは、離島や一部地域などの例外だと言えます」

 “水に親しむ”ことが少なかったがゆえに、県民向けのレジャーとしてマリンスポーツがまだ根付いていなかった。

やんばるワーケーションプロジェクト

 産官学が連携してマリンスポーツを含めたウェルネスリゾート環境を整え、ワーケーションの促進などで関係人口の増加につなげていく取り組みが進められている。遠矢氏が参画する「やんばるワーケーションプロジェクト」だ。

 関係人口とは、定住者と観光客の中間のようなイメージで「他拠点生活をする人」「その地域にルーツや愛着がある人」など、積極的にその地域に関わっていこうという思いのある人々の数を指す。国内の人口減少は避けられない中、地域創生の原動力として注目を集めている考え方だ。ワーケーション滞在者も関係人口に数えられることが多い。

総務省資料より

 関係人口を集める鍵となるのが、沖縄独自の自然や文化だという。遠矢氏は「他の街がいくらお金を積んでも、自然や文化を買うことはできません。本物は地元にしかないわけですから」と話す。それらを生かしたワーケーションプログラムの本格的な稼働に向けて、すでに試作プログラムを走らせており「名桜大学発のベンチャー企業を作って、やんばる地域に特化したモデルを作りたい」と今後を見据えている。

ダイビング客 高いリピーター率

 マリンスポーツは観光集客や経済効果の面でも効果が高い。ダイビングを目的に沖縄旅行に訪れる人は、他の目的で訪れた人に比べてリピート率が高いのだ。

 沖縄県の2018年度調査によると、沖縄に来るのが「初めて」と答えた人のうち、ダイビング目的の人は5.3%だったが「10~19回」とした人は13.1%、「20回以上」とした人は21.8%に上るなど、来訪回数が増えるほどその比率が増加していることが分かる。

 また、さまざまなダイビングスポットへの移動も伴うことから、比較的交通費を多く消費することも特徴だ。

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