静かに動き出す「教育未来創造会議」 沖縄から注目すべき理由

 

沖縄にとってどれほどのメリットがあるのか

沖縄県庁

 教育未来創造会議では具体的に、人材育成の強化に向けた抜本的な大学改革や、大卒後の所得に応じた出世払い型の奨学金制度の創設などが議論されています。これらが本当に実行されれば、大学生はもちろん、社会人にとって格段に学びやすくなる環境が整えられ、社会に相当のインパクトを与えるでしょう。子供の貧困や専門人材の育成といった重要課題を抱える沖縄にとって、これは決して見逃せない動きです。特に、新たな奨学金制度の創設は、実現すれば沖縄の学生にとって非常にメリットの大きい政策となるのは間違いありません。

 貧困の連鎖を断ち切るためには、経済状況に左右されずに安心して高等教育機関へ進学できる環境整備が必須です。更には、こうした就学支援や大学改革が、沖縄で成長産業を発展させる人材の育成にもつながっていきます。教育未来創造会議で議論されているテーマは、まさに沖縄の課題解決にとっても大きな論点となるのです。

岸田総理のリーダーシップに期待

 前身である教育再生実行会議の時代では、当時の安倍首相と菅官房長官が官邸主導で強力に教育政策を実行してきました。いじめ対策推進法の制定に始まり、幼児教育・高等教育の無償化やGIGAスクール構想(1人1台端末によるICT教育化)など、目玉政策実現の強いエンジンとなってきたのです。岸田総理もこの強力なエンジンを活用して、独自の目玉政策をしっかり実現させたいと考えているはずでしょう。新たに首相直轄の会議を立ち上げたことを考えれば、多少楽観的な見方かもしれませんが、総裁・首相就任以来、未だ教育分野では大きな政策を打ち出した印象があまり無いからこそ、この教育未来創造会議で、強力なリーダーシップが発揮されることを期待してもいいのではないかと思うのです。

 政治的なインセンティブがここで強く働くことによって、結果的に沖縄にとっての希望がもたらされるなら、それは歓迎すべきことではないでしょうか。沖縄から、教育未来創造会議の行く末に注目してみましょう。

次ページ:
1

2


関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…
宮古毎日新聞

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ