アフリカと融合で癒しの音色「琉球カリンバ」 老舗楽器店が開発

 
高良レコード店の石川祐輔さん(左)と高良義弘社長

コロナ禍でのカリンバブーム

 琉球カリンバが誕生した背景の一つに、2020年から始まった「カリンバブーム」があったという。

 高良社長は「メーカーが5000円ほどの安価なカリンバを開発・流通したことで、たくさん売れるようになりました」と、潜在的なカリンバ需要を感じていた。加えて、コロナ禍が重なったことで石川さんは「巣ごもり需要があったのもかなり影響したと思います。ボリュームが大きくないということも、自宅で楽しめる楽器として人気が伸びていました」と話す。

 最初は高良社長が遊び心で琉球音階が出しやすいカリンバを作っていた。とはいっても、琉球音階の構成音の棒にテープを貼って目立たせたものだった。その矢先、同店に出入りしているメーカーの営業担当者が「琉球音階でも作れますよ」と提案したことが、商品化に現実味を持たせた。

 しかし実際に商品化を実現しようとすると、最小生産ロットなどの問題から少なくとも150万円かかることが分かった。石川さんは「コロナで景気が悪いこのご時世に、一か八かで作ってみる大博打なんて打てないですよね」と笑う。そこで資金調達の手段として選んだのはクラウドファンディングだった。「社長もちょうど還暦だから、みんな協力してくれるでしょう」と高良社長の気持ちを盛り上げつつ、挑戦することになった。昨年5月のことだ。

保育園に寄贈も

 結果として、クラウドファンディングは楽器開発・販売の事前マーケティングとしてもかなり有効な手段となった。購入を希望する人が寄付をし、お返しとして商品を送ることから、石川さんは「市場調査をしながら商品化に踏み込めるので、開発者にとってはリスクを抑えることができました」と協力に感謝する。

 琉球カリンバのデザインにも、ハイビスカスなど沖縄らしさを取り入れた。店舗が那覇市のメインストリートでもある国際通りに面しているため、観光客にとっても沖縄の思い出として持ち帰ってもらえたら、との願いだった。

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