沖縄の「子どもの貧困問題」の背景とは これまでの対策を振り返る
- 2022/1/27
- 社会
―貧困対策が本格化した際に、10億円の予算を引っ張ってきました。この時はどのような流れだったのですか。
「貧困対策に関わらず、予算は予算要求をして財務省とやりとりを重ねて調整します。私が大臣就任したのは2015年10月で要求はとっくに終わってたんです。手を上げたとしても項目すらないという状況だったのですが、最終的に財務大臣との直接折衝で10億円の予算を確保して2016年度の沖縄振興予算に計上しました。
また、10年前の沖縄振興特別措置法の改定に立ち会った経験も大きかったですね。当時は民主党政権で、単純延長しか考えてませんでした。私は野党自民党という立場だったのですが、仲井眞弘多知事(当時)と一緒になって自民党調査会を立ち上げて、法文1文1文に目を通して議員立法並みにやったんです。
その際、ニートやひきこもりなどの『何らかの障害を持つ子ども』という文言を入れ込みました。それで、法的根拠が明確にあるので貧困対策としての予算措置ができるということを当時の菅官房長官に直訴して、内閣として政府として『よし、やろう』という方向にいったんです。この時に初めて振興特別措置法で子どもに対する予算措置が可能になりました(※)」
※沖縄振興特別措置法の第五章第八十四条の四「子育ての支援等」という項目で「国及び地方公共団体は、沖縄において、青少年であって障害を有するものその他社会生活を円滑に営む上での困難を有するものの修学又は就業を支援するため、これらの者に対する助言、指導その他の援助の実施に努めるものとする」という条文になっている。
新しい角度からの支援を
―今回衆院選で当選して、久しぶりに国政に戻りますが、貧困対策にはどのように向き合おうと考えていますか。
「6年ぶりに国会に戻るので、先ずはこれまでに行われてきたこと、改善したこと、課題として残っていることを整理したいですね。
その一環として先日、若年妊産婦の居場所に行ってきたんですが、そこにもう既に宿題がありました。15~16歳とかで出産している子たちを支援するのですが、そこでの就労に対する新しい角度の支援、居場所の対象年齢制限の撤廃など色んな要望を聞いてますので、具体的にはそういった取り組みも進めていきます。
沖縄の出生率は全国一である一方で貧困率が高いということは、沖縄で生まれた子どもが幸せに育つことができる割合が低いということになります。これをどうにかしなければいけない、というが私の根本的な問題意識なので、現場の皆さんと力を合わせて引き続き頑張っていきたいです」