島に渡る前に知っておきたい「与那城4島」の特徴と歴史
- 2021/12/20
- 社会
2500年前にタイムスリップ!?
伊計島は「イチハナリ(伊計離)島」とも呼ばれ、与勝半島の離島群で最も遠い島だ。宮城島との間に架かる赤色の伊計大橋は、空と海の青さに加え欄干に鎮座する白いシーサーとの組み合わせが映えスポットになっている。
しかしその橋の下を流れる「フーキジル水道」と呼ばれる海峡は、潮の流れが早く水難事故も多い。外国人にも注意を喚起するべく英語での看板も設置されているほどなので十分に注意をしてほしい。
伊計島は最高標高が45mと、とてもフラットな島である。それゆえ島一面に広がるのは見渡す限りの畑のみで、特に用がなければ奥までは進まないだろう。
しかし、実はこの広い畑の真ん中に歴史深いスポット「仲原遺跡」が隠れているのだ。約2500年前の貝塚時代の集落跡で、県内最大の竪穴式住居跡、室内墓などが発見されている。
南北約50m、東西100mの範囲にも及ぶ遺跡で、1986年には国の史跡にも登録されている。遺跡内には当時の様子を復元した住居がいくつか建てられており、琉球時代を飛び越え教科書で見るような貝塚時代に一気にタイムスリップした気分になれる。
沖縄の歴史を変えるかもしれない無人島
最後に藪地島を紹介しよう。藪地島には300年ほど前まで人が暮らしていたと言われるが、現在は無人島で農作業をされる方が行き来をする程度だと言う。本島とは藪地大橋で繋がっており車で渡ることもできる。
島内の中心に伸びる細い一本道をひたすら進むと「ジャネー洞」と言う洞窟入り口に突き当たる。この洞窟が凄いのだ。
これまでも洞内で約6500年前の土器や鏃(やじり)が見つかるなど、沖縄の歴史を研究する上で重要な遺物が発掘されていたのだが、2021年11月には1万年〜9000年前の貝塚時代の人骨が見つかったと発表された。県内ではこの時代の人骨はこれまでに見つかっておらず、新たな歴史研究の手がかりとなる可能性を大きく秘めていると言う。
洞窟内では現在も発掘調査が進められており、なおかつ地域の人の信仰の場所でもあるので中には立ち入らないようお願いをしたい。
旧与那城町の離島群には、島一つ一つにそれぞれの豊かな特徴と深い歴史があり決して一括りにはできない。各島に橋が渡り自由に行き来できる今だからこそ、それぞれの島の背景にまで目を向けて島観光を楽しんでみてもらいたい。