【後半】県海外職員が語る沖縄ビジネスの都市別進出優位性と課題

 

認知度向上の鍵となるベトナム語発信

 「ベトナムでは沖縄のことはほとんど知られていない」と課題を話すのは、同国の徳嶺勝信委託駐在員だ。訪日観光客は増加中だが、東京、大阪、京都、富士山といったいわゆる「ゴールデンルート」が中心だという。「沖縄からの直行便ができると変わるはずです。ハノイからだと3時間ちょっと、ホーチミンから4時間半ぐらいで行ける距離です」と、誘客に向けた交通インフラ整備の重要性を説く。また、SNSでのベトナム語動画発信が「非常に大事なポイント」だとした。

 物産品の販売については「『MADE IN JAPAN』はもう通用しない。若者にとって化粧品、家電、車、ファッションについては『MADE IN KOREA』の方が上です」と、日本ブランドのイメージが相対的に低下していることへの自覚を呼び掛けた。また、「沖縄の人自身が沖縄のポテンシャルに気づいていない。文化も食べ物もそう。いろんな仕掛けができる。沖縄の人が沖縄の良さを見つけることが大事です」と、内側からの意識変革を求めた。

将来性あるフィリピン経済

 沖縄からの移民や距離的な近さなど、歴史的なつながりが強いはずのフィリピンでは「いまだに沖縄の産物が輸入されていない」のが現状だという。屋良朝彦委託駐在員は、フィリピン沖縄県人会連合が11月に開催した「第1回沖繩フードフェスティバル+琉球泡盛品評会」など、食を通した沖縄への誘客や食品販路拡大の取り組みを紹介した。

 フィリピンの経済的な将来性にも期待する。人口が約1億1000万人と多く、さらには増加し続けており、2025年には総人口で日本を逆転する勢いの巨大なマーケットが背景にある。また、関税や外資進出についても規制緩和の方向であることや、平均年齢24歳という豊富な伸びしろから、新興国フィリピンでのビジネス参加を呼び掛けた。

沖縄月桃コスメが人気、フランス

 「ハーブなど、『香り』についての関心が高く、沖縄特有のボタニカル(植物由来のもの)はポテンシャルがあると思われる」と話すのは、フランスの梶原章代委託駐在員だ。実際に、フランスの有機コスメブランドが月桃を使用した製品を販売しており、入荷するとすぐ売れきれるほどの人気ぶりだという。

 また、フランスのトップパティシエが沖縄県産の黒糖やシークワーサーを使って商品を開発したことに触れ「沖縄の農産品の品質の高さが(トップパティシエとのコラボによって)保証されたことから、県産品がフランス進出する際のプラス効果が期待されます」と話した。

 さらに、日本の伝統工芸品に関心が高い層も多くいることを紹介。特に藍染は「ジャパンブルー」と呼ばれファンが多いことから「琉球藍は高い評価を受けやすい環境にある」と分析した。

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長濱 良起

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フリーランス記者。
元琉球新報記者。教育行政、市町村行政、基地問題の現場などを取材する。
琉球大学マスコミ学コース卒業後、県内各企業のスポンサードで世界30カ国を約2年かけて巡る。
2018年、北京・中央民族大学に語学留学。
1986年、沖縄県浦添市出身。著書に「沖縄人世界一周!絆をつなぐ旅!」(編集工房東洋企画)

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