現状把握にすら多大な労力… 部活動派遣の現場に見る課題とは

 

 公益財団法人「みらいファンド沖縄」が「子どもの人権保障」という観点から、部活動に取り組む子どもたちの沖縄県外派遣を支援する「沖縄・離島の子ども派遣基金事業」。休眠預金を活用したこの事業では、離島県の沖縄で県外派遣や離島間の移動に伴ってどうしても直面する問題を目に見える形にし、その解決策を具体的に示すことに取り組んでいる。
(みらいファンドの取り組みについてはこちらの記事を参照:「体験の保障は子どもの権利」 部活動の派遣は課題が山積み

 そのみらいファンドが助成する2団体に、子どもたちや保護者・指導者たちと直接やりとりする中で見えてきた“現場”の様子や課題点について聞いた。

離島と本島の温度差と格差

「支援事業に関わってから、1番驚いたのは本島と離島との派遣についての“温度差”です。離島の場合、移動を伴う大会への出場はレギュラーだからとか競技の能力の高さではなくて、経済的な家庭の事情も含めて『行ける人から行く』というのが実情なんです」

 こう語るのは(一社)沖縄県サッカー協会の金城充さん。派遣支援事業を進めていく中で離島の子どもたちや保護者たちとのやりとりをするようになり、さまざまな課題を目の当たりにすることになった。「問題が広くて深いので、正直どこから手をつけていいのか分からない」と困惑することもあるが、支援活動に取り組んでいる。

 2019年から支援が実際に始まってからは、保護者からは「ありがたい」「助かる」というリアクションがほとんどで、指導者や引率者からも「島外(県外)の子どもたちと交流することで、競技以外の面での成長も目に見えた」という声も多いという。「体験の保障」という観点からも、遠征の経験は子どもたちにとってプラスになる面が大きい。

 一方で、離島となるとそれでもまだ各家庭の負担や競技環境の“格差”が多々ある。県内離島という条件下では、特に高校だと他にチームが無く島内での練習試合をする対戦相手すらいないというケースもある。練習試合のためだけに島外移動をするわけにもいかず、大会出場で本島に渡航した際、「せっかくだから」ということで、大会以外の日にも連日1日2試合のペースで無理に日程を組むこともままあるという。

「本島内の場合だと、優勝や準優勝で県外の大会に行くとなるとそれなりに勝ち抜いてのことなので、ある程度“お祝いムード”もあって、カンパなどの資金集めもちょっとお祭りみたいな感じでやってることも多いと思います。でも、離島は全然違う。毎回カンパを募るわけにもいかないので、当たり前のように自費負担です。特に兄弟で部活やってたりすると、『今回はお兄ちゃんが卒業で最後だから』という感じで、どっちかしか行けないということも当たり前の日常だったりするんですよね」(金城さん)

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宮古毎日新聞

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