市民×技術で南風原「非公式議会アプリ」県や那覇などにも展開へ

 

 塾講師やキャリア教育コーディネーターなど、教育分野での活動を総合的に手掛ける南風原町の玉城陽平さんが中心となって8月に作った「非公式南風原町議会アプリ」が、県内でのシビックテックの可能性を加速させている。
 シビックテックとは「市民(シビック)」と「技術(テクノロジー)」を掛け合わせた造語で、市民自らがICTなどの技術を活用して地域課題を解決しようとすること。同アプリでは議会だよりや町のホームページからの情報を整理して、町議のプロフィールの他、過去の一般質問の内容からどのような課題に関心があるのかなどを分かりやすく体系的にまとめている。
 玉城さんは「同じフォーマットを使って各市町村で簡単に横展開ができます」と話し、各地の有志らと共に9月17日の段階で沖縄県、那覇市、浦添市、南城市、金武町の各議会の非公式アプリの制作計画を進めている。ゆくゆくは全国的にもこの動きを広げていく計画だ。

プログラミングの知識不要

 同アプリはプログラミングの知識が不要な“ノーコード”でのアプリ開発ツール「Glide」を活用して作られた。アプリ開発自体は主に玉城さんが行い、職場の仲間の3人と力を合わせ、計25時間を費やして材料となる情報の整理を行った。

 今後はそのノウハウを提供して各自治体で非公式議会アプリができていくことで、ドミノ式に県内に広げていきたい考えだ。

 玉城さんがこのアプリ開発に至ったそもそものきっかけは、昨年末に那覇市から地元の南風原町に戻ってきたことだった。改めて地元のことを知ろうと、行政運営の指針となる総合計画や、予算書などをネットで調べていたものの、担当部署ごとに情報のありかが散らばっている状態で分かりにくかったという。「福祉や教育のことがそれぞれ別々のページで上がっていて、総合計画の内容が全部でどのぐらいあるのかさえも把握できずに不便でした」

 玉城さんが、他でもない町議会に関する情報をまず整理して公開したのには「地元に貢献し、みんなで一緒に町を良くしたい」という思いがあった。

 「町民にとって『良い町』が何かというのは、私個人で決められることではないので、民主主義的なプロセスの中で『良い町』の方向性を定めないといけません。町議会というのは、そのための重要な役割を担っています」

 住民の声がしっかりと行政に届けられるように、行政との橋渡し役となる議会の情報を「町づくりの基礎の基礎としてまとめた」からだ。

鍵を握る行政の「オープンデータ」

 このアプリ開発のように、住民が地域課題を解決するために動くには、行政の側からの情報公開が必要となる。さらに大切なのは「2次利用しやすい適切な形での情報公開」だ。これを「オープンデータ」という。

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