ウクライナの国花ヒマワリの種植える OISTで平和の願い込め

 

 

ヒマワリの種を植えるウクライナ出身のオクサナ・ブルドゥジャンさん=6日、恩納村の沖縄科学技術大学院大学

ヒマワリの種に、平和の願いを込めてー。ロシアによるウクライナ侵攻が続いている現状を受け、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のボランティアメンバーが6日午後、恩納村の敷地内にウクライナの国花であるヒマワリの種を植えた。同大学の教員担当学監オフィスで働くウクライナ出身のオクサナ・ブルドゥジャンさん(38)も参加し「ウクライナに平和と愛を送りたい」と母国への思いを語った。

 ウクライナ危機を受け、世界ではヒマワリの花を手に抗議の声を挙げる人もおり、ロシアの侵攻に対する抵抗のシンボルとしても認知されるようになってきている。

発起人の高橋さん 「なんとか支援したい」

 「Sunflowers for Peace(サンフラワーズ フォー ピース)プロジェクト」と銘打ったイベントには、大学関係者やその子どもたちなど約50人が参加した。学内のガーデニングクラブのメンバーからまき方を習い、恩納村から譲り受けたヒマワリの種を深さ2センチほどの穴1カ所につき、2、3粒ずつ植えた。1カ月半~2カ月で花を咲かせるという。 

イベントの開催理由について説明する高橋麻美さん

 発起人の一人で、オクサナさんと同じ部署に勤める高橋麻美さんは「彼女が毎日家族を心配し、泣いてる姿を見ていて、なんとか支援をしたいという気持ちからボランティア活動を決めた」と開催に至った理由を説明した。その上で「平和で美しい活動を通し、ウクライナのシンボルであるヒマワリを多くの人に見せたい。大事に育てます」と笑顔で話した。

母国へ寄付 避難者の生活支える

 「本当に悲しいとしか言えない」と母国の惨状を嘆くオクサナさん。自身の故郷はウクライナ東部のドニプロで、街には美しい川が流れているという。

 攻撃を受けた周辺の地域から避難してくる人が多く、自身は友人など知り合いから集めた寄付金を現地に送っている。「食べ物や水、家が無い人が逃げてきている。寄付を送り100人以上の方を支援している」と説明した。

参加者に対し感謝の言葉を述べるオクサナ・ブルドゥジャンさん

 美術教室を開く活動も行っており、今週の土曜と日曜には北谷町美浜のアメリカンビレッジでワークショップを開き、集めた寄付を再び母国に送る予定だ。

 イベントの開催を受け、オクサナさんは「このような美しいイベントで支援をしていただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。大好きなウクライナに平和と愛情が届くように、(取材陣のインタビューに)話すことを決めた。戦争は止めてほしい」と切実に訴えた。

吸水性ポリマーで協力 花の成長に寄与

粉末状の吸水性ポリマー(右)。左は水を加えてゼリー状になったもの

 イベントには、食物の残さから作った自然由来の吸水性ポリマーを開発、販売するEF POLYMER(恩納村)も協力した。同製品は粉末状で、水を混ぜるとゼリー状になる。水分や肥料を土中に長期間維持できるため、種と一緒にまくことで成長を促進する効果がある。

 同社は2018年にインドで設立された。19年にOISTの起業支援プログラムに採択され、20年に恩納村で日本本社が立ち上がった。21年度には環境スタートアップ大臣賞を受賞している。沖縄県内の農地の他、北海道や佐賀、高知などにも卸しているという。

  日本本社の石井良明オペレーションマネージャーは「一刻も早く(ウクライナ危機が)収まってほしい。ヒマワリの花が希望の光になれば」と心から平和を願った。


長嶺 真輝

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ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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