在沖縄アフガン人「戦争が終わった」再建へ向け母国でビジネスも
- 2021/8/20
- 政治
8月15日に、シャリーア(イスラム法)に基づく政治体制の確立を目指す組織「タリバン」がアフガニスタンの首都カブールを掌握した。米国が後ろ盾となっていたガニ政権があっという間に崩壊し、多くの西側メディアはこの“タリバン統治”を否定的に伝え、米軍を撤退させたバイデン政権にも批判の矛先を向ける。
沖縄県内にもビジネスや留学でアフガニスタンからやってきた人たちがいる。彼らはこの事態をどのように受け止めているのか。話を聞いた3人は意外にも、20年に渡った内戦が終結したことへの喜びを語り、国の再建に向けてアフガン国民が力を合わせることの重要性を説いていた。
「誰にも報復しない」声明が大きな安心に
「将来的に政府がどのようなものになるかが不安なため、国民は注視していかないといけませんが、今は平和になって夜も出歩けるようになったそうです」。そう話すのは、自動車関係の仕事に就くハサン・アハマド・ミラドさん(33)だ。
2001年に米軍などの軍事行動によって崩壊した旧タリバン政権は、イスラム法を厳格に解釈したことで、女性への教育や娯楽の禁止、人権侵害などで国際社会からの批判を招いた。今も欧米や日本ではタリバンに向けられるまなざしは厳しく、人権侵害が再来するのではと懐疑的な見方がほとんどだ。
しかしアフガニスタンの人たちの間ではやや異なるようだ。
旧タリバン政権の記憶から「国民の中にはタリバンへのネガティブなイメージも残っています」としながらも「ただ、当然のことながら、外国メディアよりも地元の人間の方がアフガニスタンの内側のことはよく知っています。内戦が終わり、情勢が落ち着いてきた今、徐々に好意的なイメージになってきているといえます」
実際に、カブールに住むハサンさんの家族は、タリバンがやってくるのを前に心配でたまらなかったという。情報が錯綜しており、何が正しい情報かが分からなかった。それでも安心材料となったのは、タリバンの報道官が声明で「誰にも報復しない」と明言したことだった。タリバンの「新政権」はこれまでの敵対勢力を罪に問わず、女性の社会参加を促すなど「生まれ変わり」をアピールしている。
「国民がみんな力を合わせて国を再建する必要があると考えたからだと思います。旧政権や外国軍に近い人の中には、医者も教師もエンジニアもいます。国の明るい未来や希望のために、そういった人々の力が必要です。とにかく国を立ち直らせる必要があるのです」
アフガニスタンは、これまで20年にも渡って内戦が続いてきた。それだけに今度こそ、国民の力を集めて国の再建に取り組みたいという思いは強いようだ。ハサンさんも、あと3カ月もしたら母国へ戻って、アフガニスタンと日本をつなげるビジネスを展開し始める予定だ。
「アフガニスタンが、日本やアメリカのように経済力も技術力もある国になれたら、と思っています」