「沖縄空手に世界が憧れている」 武道ツーリズムのポテンシャルは花開くか

 
海外の空手家が参加した合宿の様子(アゲシオジャパン提供)

「武道ツーリズムで言えば、沖縄の空手は全国でもかなり先行している状況にありますよ。まだ未開拓な分野なので、どんどん新しいことを試していけます」

 空手をメインとした沖縄観光を手掛ける旅行会社「アゲシオジャパン」の取締役・古田桂一さんはそう語る。「武道ツーリズム」とは、スポーツ庁がスポーツを通して地域活性化を図る取り組みの一つとして推進している「スポーツツーリズム」の一環で、空手や柔道、合気道などの武道を通じて日本の文化や歴史を学ぶコンテンツを盛り込んだ、主にインバウンド向けの観光施策だ。
 生憎のコロナ禍で海外客が皆無の状況ではあるが「今だからこそできることをしながら準備していますよ。この分野はまだまだこれからなんです」と話す古田さんは、“空手の聖地・沖縄”に訪れたい気持ちを抑えているたくさんの海外空手愛好家を迎える手筈を整えている。

インバウンドからの集客がゼロに

 コロナ前には年間約7000人が空手目的で来沖していた。先述した武道ツーリズムの動きが出始め、試行錯誤しながら企画をこなし手応えを感じてきた矢先のコロナ感染拡大だった。「1人も海外客がこない状態が1年半続いていく中で見えてきたのはオンラインでの空手指導でした」

 現在はオンラインでのセミナーを開催しつつ、県や国の委託事業に取り組みながら、アフターコロナのタイミングで来沖を希望している海外客と道場の関係構築に尽力している。「海外から沖縄に行きたいという人の母数は非常に多い」というのが古田さんの実感だ。

 普段から空手に関心をあまり持っていない県民には実感しにくい面もあるが、海外での沖縄空手の人気は凄まじいものがある。有名な指導者だと、コロナ前には月1回のペースで海外セミナーを行って、毎回数千人の集客があるという。さらに、沖縄でセミナーを開催した際には世界中から約200人が集まったこともあった。「沖縄の空手道場は世界から見ると憧れなんですよね」

沖縄空手と武道ツーリズムについて語る古田桂一さん
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