「まん延防止措置」に5町追加
- 2021/4/29
- 新型コロナ・医療
玉城デニー知事は28日、県庁で臨時会見を行い、沖縄本島中南部地域などでの感染拡大を防ぐため、「まん延防止等重点措置」の対象地域として北谷、西原、与那原、南風原、八重瀬の5町を5月1日から追加指定すると発表した。同措置の対象地域は、県内15市町となる。
政府は23日、沖縄での同措置について5月11日までの延長を決定している。これに合わせ、県は県内全域の飲食店等に要請している午後8時までの営業時間の短縮要請も5月11日まで延長した。カラオケ設備の利用自粛や、マスク着用に協力しない客へ酒類の提供ができない旨の掲示を行うことも求めた。
また、玉城知事は、ゴールデンウイーク期間中の県民に対する要請として、離島との往来を含めた不要不急の外出や移動の自粛のほか、歓迎会や模合、ビーチパーティーなどの飲食につながるイベントなどを自粛することなどを挙げた。
このほか、県は、これまで「4人以下、2時間以内」としてきた会食について「同居家族等と少人数かつ短時間で実施し、感染対策が徹底されていない飲食店の利用を自粛すること」と内容を強化した。
玉城知事は「もし変異株がまん延すると、発生の加速度は、我々の想像を超えて加速する。対策を取るよう、県民にお願いをしないといけないという観点から、そのように強めに要請させていただいた」と述べた。
変異株の検出率は6割に
県が変異株の拡大を警戒する中で、感染力の強い「N501Y型」変異株の割合は上昇している。同日は、19~25日ごろに陽性が判明した感染者のうち76事例を県衛生環境研究所と民間会社で調査した結果、48件が同変異株と判明して検出率は63.2%になったことも発表された。
同変異株の検出率は、前週の38.3%から大幅に上昇している。特に、宮古島市での検出率が高いといい、衛生環境研究所の調査では同市の20件中で19件が同変異株と判断された。同市での検出率は95%に達している。
県全体での新規感染者数が減少傾向にある中で、同変異株により感染者が再び増加に転じる可能性について、県の糸数公医療技監は「関西圏を見ていると、いったん感染が落ち着いていても、同変異株へ置き換わった場合には増加に転じるおそれはある」と述べた。
来県自粛要請は行わず
一方、県は同日の会見では、緊急事態宣言区域とまん延防止等重点措置の指定地域などとの往来や、同区域・地域からの帰省や来沖について「厳に控えていただくよう要請する」として、来県自粛の要請までは踏み込まなかった。
玉城知事は、メッセージが弱いのではないかとの記者団からの指摘に対して、「(緊急事態宣言の地域などでは)移動しないでくれという要請は出ている。われわれも『厳に控えてください』と言えばイコールフィッテングだということの確認をした」と説明した。
また、「今は旅としての楽しみ方は到底できる状況ではないということは、国内の状況からは感じ取っていただいていると思う」とも述べた。
同日は、営業時短要請への協力金について、5月5日までは「まん延防止等重点措置」の対象地域で1日当たり4万円以上とするが、同6日以降は引き下げることも発表された。同措置対象地域で1日3~20万円、それ以外の地域では同2万5000円~20万円とする。
宮古島市は来島自粛要請
県が来県自粛要請に踏み込まない中、感染の再拡大が見られている宮古島市の座喜味一幸市長は同日、記者会見を開いて「来島自粛」を要請した。同市の直近1週間当たり新規感染者数(人口10万人当たり)は108.0人で、県平均(42.02人)や全国最多の大阪府(89.28人)を上回っている。
座喜味市長は「医療体制がぜい弱な離島で、入院や宿泊療養がひっ迫している状況を、ご理解いただきたい。切にお願いする」と語った。ただ、ゴールデンウイーク直前での要請に対して「対応が遅いのではないか」との声も出ている。
先行きが見えない中で、県や各自治体も手探りの対策を取らざるを得ない状況が続く。成果を上げることができたかについては、観光などで人流が活発なゴールデンウイークが終わった後、5月中旬までには明らかになる。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)