緊急事態宣言は見送りへ 県の手腕問われる局面
- 2021/4/27
- 新型コロナ・医療
玉城デニー知事は27日、県庁で臨時会見を開き、現時点では緊急事態宣言の発出を国へ要請しないと表明した。全県で実施している飲食店への営業時間短縮要請の期間を5月11日まで延長することについては、各関係者からおおむね了解を得たことも明らかにした。その上で、「28日の対策本部会議を開いて県の対処方針を決定する」との方針を示した。
会見で、玉城知事は飲食店の時短要請に伴う協力金の下限額(1日当たり4万円)について、国から引き下げの改定が示された一方で、経済対策や飲食業以外の業種に対する支援策に係る財源について国の協力が得られたことも明らかにした。
県は、改めて経済団体会議に状況を説明し、時短要請の延長などの協力を求めるという。その上で、28日の対策本部で議論して県の対処方針を決定し、公表するとした。
県内での新規感染者数は、4月17日に過去最多の167人となって以降、宮古島市では感染の拡大傾向があるものの、全体としては減少に転じている。玉城知事は、「沖縄本島地域で(1人の患者が何人に感染させたかを示す)実効再生産数も0.72となるなど減少傾向が見られる」と述べた。
一方で、変異株については、「県内各地でも相次いで確認されている」として、「変異株のまん延を防ぐためには全体の感染拡大を抑え込む必要がある」と強調した。
時短命令や過料も視野に
このほか、玉城知事は主な感染源が飲食の場であると指摘した上で、時短要請に応じない店舗へ文書を発出し、市町村などと連携をして協力を強く求めるとした。それでも改善がみられない場合の措置として、命令や過料を科すことも視野に入れて対応する姿勢も示した。
飲食・接客業関係の感染が目立つ宮古島市で行う、飲食店などの従業員が対象の無料PCR検査については、保健医療部の大城玲子部長が「できるだけゴールデンウイーク前にという風に考えているが、確実にということでは、いつからというのは申し上げ難い」と述べて実施時期の明言は避けた。
ゴールデンウイークの人流増を警戒
県が緊急事態宣言の要請を見送る方針を示す一方で、医療関係者で構成する県専門家会議はゴールデンウイークによる人流増に警戒を示している。26日夜に開催された会議では、国の緊急事態宣言が発令されている4都府県などから人の移動が増加すれば、感染再拡大の懸念があるとの意見が出された。
また、まん延防止等重点措置や営業時間の短縮要請については、「一定の効果が見られている」したものの、「緊急事態宣言発出地からの来県は控えるよう、分かりやすく呼び掛けるべきだ」との声も挙がったという。「県の対応が遅い」との声も聞かれるなか、玉城知事の手腕が問われる厳しい局面が続いている。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)