誰にどんな価値を提供するのか 沖縄観光の「質」向上に必要なこと(2)
- 2021/3/7
- 経済
沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が3月1日に那覇市内で開いた観光人材育成・確保促進事業シンポジウム。沖縄観光の質向上について考えるためのパネルディスカッションでは、パネリストとして基調講演の講師も務めた「株式会社 刀」のシニアパートナー・加藤健史氏、星野リゾート沖縄読谷事業所の総支配人・澤田裕一氏が登壇し、モデレーターをOCVB会長の下地芳郎氏が担った。
ディスカッションでは、これまでのように大々的には県外客を呼び込めないコロナ禍の現状で取り組めることやアフターコロナの展望、さらには加藤氏が携わる沖縄北部テーマパーク事業にも話題が及んだ。
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今だからこそ地元の魅力再発見を
下地芳郎氏(以下、下地):コロナであまり身動きが取れない今この時期、観光業界が何に取り組むべきかお聞かせください。
加藤健史氏(以下、加藤):現在観光事業を通してサービスを提供できるのはやはり地元のお客様だと思います。今携わっているテーマパーク事業について地元の方々と話をした時、大自然をテーマにしていることをお話しすると「沖縄の自然にどんな価値があるのか」という質問を受けてすごくびっくりしました。
沖縄の自然、特に山原の自然だと、真っ直ぐ立ってる木があまりない。逆に本土の木はほとんど真っ直ぐ立っているので、旅行者からすると山原の木を見た瞬間に非日常のスイッチが入るんですね。
でも、もしかすると地元の皆様にとってはよくある風景の中の1つで、その価値が感じられないということもあるのかもしれないですね。こうしてみると、地元の方々が普段接している沖縄の中に改めて価値を再認識するポイントは他にもあって、そこで県内の人たちに改めて魅力に気付いてもらうように取り組むのもいいかもしれません。
下地:確かに、昨年末に開催した「おきなわ彩発見キャンペーン」では、県民から「新しくできた観光施設に行く初めての機会になった」などのコメントを多数聞きました。今加藤さんが話したように、今の間にそれぞれの事業者が県民に対してどうアピールをするのかということも、観光業界の人たちが試されていることなのかもしれません。
澤田さんの方からは。
澤田裕一氏(以下、澤田):しばらくの間は自粛ムードが続くでしょうが、後の緩和に合わせて、アフターコロナを見据えて動く必要があると思います。
加藤さんの話とも通じるところですが、我々(星野リゾート)も、地域の方も含めてたくさん沖縄の方に来てもらいました。正直、こちらとしては沖縄の人たちにとっては少し物足りないのかなとも思ったのですが、実際には「沖縄のものを使ってこんなに素敵にしてもらってありがとう」と感謝の言葉を頂いたりもしたんです。
県産の食材を使ったコース料理も、今までこんな料理の仕方をしたことがないという感想も頂いたりしました。その意味では、改めて沖縄の方にも沖縄の再発見をしてもらうというのは良いかもしれません。