管理体制、財源確保も大きな課題 首里城復興基本計画で懇談会
- 2021/2/11
- 社会
首里城の復興基本計画について議論する県の「有識者懇談会」の会合が2月8日に那覇市内で開かれた。懇談会はこれまでに2回開催されており、第3回となる今回が最後の会合となる。
県が示している復興にむけての方針を踏まえて、具体的な計画策定に向けて協議することを目的としており、観光や歴史など復興に関わる様々な分野の専門家が出席。これまでの意見交換を基に練り上げた基本計画のたたき台と素案を確認した上で、委員がそれぞれの意見を提言した。
最後の懇談会を経たとりまとめ案は3月中にも発表される予定だ。
「しまくとぅば」の復興追記要望も
懇談会では、これまでに議論を重ねてきた課題や施策の方向性を踏まえた上で、さらに様々な意見が出た。
県立博物館・美術館の田名真之館長は管理体制について言及した。「建造物や指定文化財については、管理が県や市に分散されているおり責任が細分化してややこしい話になってしまう」と懸念を示し、将来的な運営を見据えた上で管理体制の一元化実現を提案した。また、財源確保についても、管理運営の費用は「寄付金に頼ることができるレベルではない」とし、巨額の拠出を支えるためにも「行政がしっかりとコミットする必要性がある」と強調した。
名桜大学の波照間永吉教授は「これまでの議論でしまくとぅば(島言葉)の問題が抜けている」と指摘。「言葉の復興なくして文化の復興は基本的にないと思う」と述べ、素案の中にしまくとぅばの復興について項目追記を求めた。
このほか、保存と公開についての議論が続いている第32軍司令部壕についても、検討委員会での意見について報告があった。観光関係者からは「崩落の危険性など様々な課題を解決した上で、平和学習の資料として公開してほしい」との声があった一方で、戦跡研究関係者からは「保存と公開は両立せず、まだまだ議論が必要だ」との意見が上がったという。検討委では来年度以降も継続して議論し、維持管理も含めた取り組みを進めていくとした。