運転代行AIで60分⇒11分 業者効率化で売上増「AIRCLE」
- 2021/1/1
- 経済
株式会社Alpaca.Lab(アルパカラボ、中城村、棚原生磨代表)が琉球大学(西原町)と連携して開発した運転代行配車アプリ「AIRCLE(エアクル)」が、8月のリリースから12月24日現在でダウンロード数が7000件を突破するなど好調だ。県内約30の運転代行業者と提携することで近くの車両と利用者をアプリ内で最適にマッチングさせ、待ち時間の短縮や業者の業務効率化につなげている。
全国最多700社以上の運転代行業者があるといわれる沖縄ならではのビジネス。導入した業者には大幅に売り上げを伸ばす企業もあるなど注目を集めている。
平均11分で到着 安心安全を担保
運転代行業者の数が全国2位の福岡県でも400社程度と、沖縄の業者数は断トツの多さだ。その一方で週末の夜など込み合う時間帯では、なかなか注文を受けてもらえなかったり、待ち時間が1時間以上となる場合もあったりと、不便な現状があった。「代行が捕まらないから」と待ちきれずに飲酒運転をしてしまうケースも報じられている。
エアクルでは位置情報を基に一括で運転代行を手配するため、到着まで平均11分という大幅な時間短縮を実現している。この時間短縮は業者にとっても多くの注文件数を受けられることにつながった。業者は注文1件につき一定の手数料を支払う。
同サービスがカバーするのは、手配時の時間短縮だけではない。利用者と業者の双方に安心安全を提供する、という点も重視している。
エアクルに参加できるのは、保険の加入や、公的な認定を受けた業者かどうかの表示義務を果たしているかなど、法的基準を満たした業者のみだ。万が一の事故の際にもしっかりと対応できる。
加えて、利用者の車を事前に把握することで、スムーズなサービス提供や事故防止に役立てている。これまでの運転代行業では、運転手や随伴車が現場に到着するまで、どのような車を運転するのかが分からなかった。AT限定免許を持った運転手なのに利用者の車はMTだったり、普段運転する機会が少ない左ハンドル車や高級車だったり、といった状況になることがあり、せっかく来たのに運転できないことも多いという。今後は、運転代行業に特化した保険サービスの提供も見据えている。
アルパカラボの棚原代表は「県内の運転代行の注文数のうち、3割のシェアを当面の目標にしています」と話す。運転代行業は、収益が上がりにくいビジネス構造や、法令に対応する余裕がないままその日の収入を得ないといけない従業員を抱える業者もいるのが現実だ。多くの業者がエアクルに参加してもらうことで「不適切な運行をせざるを得ない状況にある業界の適正化をしていきたい」と意気込む。
月30万円増の業者も 「全国が沖縄に注目」
新崎運転代行(沖縄市)の経営者でもあり、全国運転代行協会の新崎勝吉理事・県支部長は、エアクルがもたらした業務効率化や業界の健全経営について「全国が沖縄に注目しています」と声を弾ませる。