沖縄の企業業況、コロナ禍前の水準に 日銀那覇支店6月短観
- 2023/7/5
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は3日、2023年6月の県内企業短期経済観測調査(短観)を発表した。県内企業の景気判断を示す業況判断指数(DI)は、「全産業」で前回調査(3月)に比べ7ポイント改善のプラス31となり、コロナ禍の影響がなかった2019年9月のプラス32とほぼ同じ水準まで回復した。
同支店の短観は、県内142社(製造業24社、非製造業118社)を対象に、3カ月ごとに景況を聞く調査を行い、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数となる。今回の調査期間は5月29日~6月30日で、回答率は100%。
県内のDI(「全産業」)は、コロナ禍前は高水準を維持していたが、入域観光客数が大幅に減少を始めた20年3月期から急速に下落し、その後は低迷。全国平均より戻りが遅れていたが、入域観光客数や県民の外出頻度が増加する傾向を示し始めた昨年6月ごろから全国を上回る勢いで回復している。
飯島支店長は会見で、「沖縄における企業の業況感は、改善が続いていると言って良いと思う。資源高による下押し圧力を受けつつも、感染症の影響が和らぐもとで、観光や消費などの需要が回復する動きが続いている」と述べた。
業種別についても、「製造業、物品賃貸、卸売、小売、対個人サービスでは、観光や消費関連をはじめ、各種需要の増加で業況が改善しているとの声が聞こえる。一方、建設はプラス幅が縮小したが、地方自治体が発注する公共工事が減少傾向のとの声が出ていた」と語った。
前回からDIが10ポイント下落した宿泊・飲食サービス業については「全国旅行支援が適用外だった、ゴールデンウイーク期間中の需要がやや弱めだったとの声が聞かれた」と指摘した。
ただ、同業種の「先行き」DIでは値が改善を示しており、業界からは「新型コロナの5類引き下げによりマインドが一層、改善することを期待する」との意見もあったという。
需要は堅調も、価格上昇の影響注視
今回の短観でも、企業が仕入れと販売価格について、どのように考えているかを示す指標では、ともに「上昇」と考える企業の割合が「下落」とした割合を大幅に上回った。飯島支店長は「コストが上がっているが、需要がそれなりにしっかりした中で販売価格が引き上げられている」と述べた。
その上で、資源価格の上昇はピークアウトしており、物価上昇率は小さくなっていくとの予測を述べる一方で、現状では価格転嫁の動きが続いているとした。「価格の上昇で消費や需要が落ち込むと、業況の改善が続くかなくなる。その点が、一番注目すべき点かなと思っている」とも語った。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)