沖縄の業況、3期連続でプラス 日銀那覇支店3月短観
- 2023/4/4
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は3日、2023年3月の県内企業短期経済観測調査(短観)を発表した。県内企業の景気判断を示す業況判断指数(DI)は、「全産業」で前回調査(昨年12月)に比べ2ポイント改善のプラス24となり、3期連続でプラスとなった。
同支店の短観は、県内142社(製造業24社、非製造業118社)を対象に、3カ月ごとに景況を聞く調査を行い、景気が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた指数となる。今回の調査期間は2月27日~3月31日で、回答率は100%。
飯島支店長は、「業況判断DIは、コロナ前の2019年12月調査のプラス27には届いていないものの、当地企業の業況感は良好な水準で推移していると評価して良いと思う。当地の経済は、資源高の影響などを受けつつも、感染症の影響が和らぐ下で観光や消費などの需要が回復する動きが続いている」と述べた。
ただ、卸売や運輸・郵便などではDIが前回から悪化し、コスト上昇による利益率の低下や、値上げに伴う需要の鈍化などを指摘する声が挙がっているという。
観光需要の回復にともない、沖縄のDIは「全産業」で昨年9月調査からプラスに転じ、全国水準を上回っている。飯島支店長は、「インバウンドを中心に観光需要の回復がさらに進むとみられるので、今年の沖縄経済は全国の中でも強いのではないか」との認識を示した。先行きのDIは、今回調査から1ポイント上昇のプラス25だった。
県内企業の経常利益予測(2023年度計画)は、前年度比45.0%の上昇。同支店では「企業からは、需要の回復が続くと見込まれること、資源価格上昇が一服しているほか、コストの販売価格への転嫁が進んでおり利益率の改善を予想する声が聞こえている」と指摘した。
一方、「資源高を販売価格に転嫁できず業況が悪化している」と回答した企業もあり、資源高や人手不足に対応できている企業と、そうでない企業との間に差が生じている可能性もあるという。
県内、価格転嫁の動き継続
企業の仕入価格判断DI(「上昇」と答えた企業の割合から「下落」とした割合を引いた指数)はプラス61と非常に高い値を示したが、前回調査(昨年12月)に比べ3ポイント縮小した。飯島支店長は「製造業の企業を中心に、『資源価格の上昇に一服感がみられる』との指摘が聞かれる」と述べた。
一方、同DIの先行きでは、予想される電力価格の引き上げから、プラス67と再拡大の動きを見せた。
販売価格判断DIはプラス36で前回から4ポイント縮小した。先行きは今回調査から10ポイント拡大のプラス46で、同支店は「仕入れ価格の上昇を販売価格に転嫁する動きがしばらく続く」と分析している。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)