辺野古めぐり10度目の法廷闘争 沖縄県
- 2022/8/13
- 政治
沖縄県は12日、米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる設計変更について、県が行った不承認処分を国土交通相が取り消した裁決は違法として、福岡高等裁判所那覇支部に裁判を提起した。辺野古をめぐる県と国の法廷闘争は10度目になる。
辺野古移設工事では、埋め立て海域の大浦湾で軟弱地盤の存在が判明し、防衛省沖縄防衛局が2020年4月に地盤改良を行うための設計変更を県に申請。移設に反対する県は、21年11月に「地盤の安定性などに関する最も重要な地点で必要な調査が実施されていない」などとして、設計変更について不承認の判断を下した。
沖縄防衛局は21年12月、国土交通相に審査を請求し、斉藤鉄夫国土交通相は今年4月に県の不承認処分を取り消す裁決を出している。また、申請を承認するよう是正指示も出した。
県は5月、国地方係争処理委員会に対して、国土交通相の裁決を取り消すよう求める申し出を行ったが、同委員会は7月に「本件は審査の対象にならない」として同申し出を却下した。
玉城知事は12日の定例会見で、「国の機関である沖縄防衛局は、固有の資格で変更不承認処分を受けたものであり、国民の権利利益の救済を目的とする行政不服審査法に基づく審査請求を行う適格を欠いている。また、国土交通大臣は、内閣の一員として埋め立てを推進する立場にあり、中立的な第三者という位置にはない」と述べた。
沖縄周辺での中国軍演習、「実施しないよう政府から求めて」
同日の会見では、米国のペロシ下院議長が台湾を訪問したことに反発した中国が大規模な軍事演習を行い、沖縄に近い日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイル5発が落下したことについて、県として中国に直接抗議しないのかとの質問も、記者団から出た。
玉城知事は、「県としては、米中の対立などによってアジア太平洋地域の緊張が高まり、日本が巻き込まれて不測の事態が生じることは決してあってはならないと考えている。10日、内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣などに対して、県民の生命財産を脅かす軍事訓練を沖縄周辺海域では行わないよう、政府から中国に申し入れるよう強く求めた」と述べた。
沖縄県議会は、9日の臨時会で、中国の軍事演習に抗議する決議を全会一致で可決している。
(記事・写真 宮古毎日新聞)