沖縄の景況4カ月ぶりに引き上げ 日銀那覇支店
- 2022/4/9
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は8日、4月の沖縄県内金融経済概況(主要指標は2022年2月)を発表した。景況判断を、2月後半からサービス消費への下押し圧力が和らいだことを踏まえて「厳しい状況にあるが、持ち直しの動きが見られる」と変更し、昨年12月以来4カ月ぶりに引き上げた。先行きは「感染症の影響が和らいでいけば、持ち直していくとみられる」とした。
飯島支店長は、判断を引き上げた理由について、2月21日から県内に適用されていたまん延防止等重点措置が解除されたことで、観光や外食などのサービス消費に対する下押し圧力が和らいだことを挙げた。さらに、3月の主要ホテル客室稼働率が43.8%(速報値)となり、1月(23.2%)以降、回復していることも踏まえて判断した。
項目別では、個人消費の判断を「感染症の影響によるサービス消費を中心とした下押し圧力が和らぐもとで、持ち直している」に引き上げた。観光も「厳しい状況にあるが、持ち直しの動きが見られる」として上方修正した。
公共投資は「緩やかに増加している」、設備投資と住宅投資は「下げ止まりつつある」とし、それぞれ据え置いた。
雇用・所得についても、2月の有効求人倍率が0.86倍、完全失業率が4.4%で「ひと頃に比べて悪化している」との判断を維持した。
先行きは、「引き続き感染症の影響を受けるとみられる」との表現を「厳しい状況が続くものの、感染症の影響が和らいでいけば、持ち直していくとみられる」に変更した。
飯島支店長は、主要ホテル客室稼働率の推移について「3月は速報値ではあるが、はっきりと回復している」との認識を示した。また、聞き取りの結果として、全国的にも3月21日にまん延防止等重点措置の適用が解除されたことで、春休みに家族旅行などを含む観光需要が明確に増加したとの声を聞いていることも明らかにした。
昨年度の企業倒産件数が35件で過去最少だったことについては「財政面や金融面から、ありとあらゆる手段を使って企業の存続が危うくならないように取り組んできた成果が表れてきた」と評価した。
また、感染の状況が回復した時に、業況が改善し、これまでに受けた融資を返済していけるかどうかが重要なポイントになるとの見解も示した。
県経済の見通しについては「不透明感が強いことに留意が必要。このところ、県内の感染者数が増加していることは気掛かりだ」と述べた。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)