内戦続くミャンマーは国際社会から見捨てられたのか 沖縄から立てる三本指
- 2022/4/1
- 国際
ミャンマーでは昨年2月に最大都市・ヤンゴンを発端とした国軍による軍事クーデターが起きて1年以上が経過した今もまだ、民主化を求める多数の市民に自国軍の銃口が向けられている。那覇市の栄町市場内でミャンマー料理店「ロイヤルミャンマー」を営み、母国ミャンマーでは小学校を運営するトゥ・ヤ・ソウさん(39)は誕生日である2月5日に、Facebook上に自身のキャッシュカードの写真を載せ、こう投稿した。
「私の誕生日に何かプレゼントしたいと思ってくれている人は、100円でも良いのでミャンマー市民のためにここに振り込んでくれると大変ありがたいです。変なことを言っているかもしれませんが、私にとってはミャンマーが平和になることが一番なんです」
国際社会の記憶の片隅に追いやられた母国の人々を思っての嘆願だった。
ニュースにならない祖国の悲劇
ソウさんは、おもむろにスマホの画面を見せた。奇しくもロシア軍によるウクライナ侵攻が開始された翌日、2月25日のミャンマーのある町を映したSNS上の動画だ。家屋は残らず燃えつくされ、投稿した女性は「私には帰る家すらない」とビルマ語で訴えていた。
画面を見ながらソウさんは「全然ニュースになってないですよね」とつぶやく。「世界の目がウクライナに向いている隙に、国軍の攻撃は悪化しています」。ソウさんによると、国軍は市民に恐怖心を植え付け、抵抗運動を押さえつけるという目的もあって町ごと破壊しているという。
国際社会は、今ウクライナに向けているまなざしを、同じ「戦争状態」であるミャンマーを含めアフガニスタンやイエメンなどの国々に向けてきただろうか。
ソウさんはこう問いかける。「内戦だから放っておいていいと思っているのでしょうか?」。さらに「ウクライナの市民もとても大変な状態で比べられることではありませんが」と前置きした上で「内戦の場合は『その国の問題』と見られることがあり、他国からの支援が集まりにくいです」と説明する。市民が軍に対して諦めることなく抵抗運動を続けているため、支援無しでは泥沼の長期戦が続いてしまう懸念もある。
「やっぱり貧しくて力のない国だからでしょうか」
3月18日に沖縄県はウクライナ避難民の受け入れに向けた支援本部の設置を発表し、人道支援の手を他府県に先駆けて差し伸べている。しかしミャンマーの避難民に対する支援の姿勢は、沖縄県をはじめ全国的にもほとんどない状況だ。「これまでも県内のマスコミに何度も取り上げてもらいましたけど、県からは特に何もアクションがありません。やっぱり貧しくて力のない国だからでしょうか。ミャンマーとは大違いだなぁと思って(ウクライナ支援関連の報道を)見ていました」