沖縄県民有志、首里城火災で美ら島財団の管理責任を問う
- 2022/1/28
- 社会
2019年10月31日未明に焼失した首里城。復元に向けて着々と工事が進むなか、焼失したのは首里城を指定管理する「美ら島財団」に責任があるとして、有志8人による「首里城火災の管理責任を問う沖縄県民の会」(県民の会)が昨年立ち上がった。
沖縄県は同財団に損害賠償を求めよというもので、その第1回口頭弁論が那覇地裁(福渡裕貴裁判長)で開かれたのは昨年11月16日。詳しくは〈今あえて問う「首里城火災の責任」(上)〉〈同(下)〉参照。
火災原因判定書から読み取れるのは
那覇地裁(福渡裕貴裁判長)で昨日開かれた法廷で、原告である県民の会訴訟代理人の徳永信一弁護士と葉狩陽子弁護士が「準備書面1の要旨」を読み上げた。
県民の会は那覇消防署が提出した「火災報告書」に記載された「出火原因については不明とする」について、これとセットで作成された「火災原因判定書」を丹念に読み込み、法廷に臨んだ。
判定書は出火原因の可能性について、1たばこの不始末による失火、2放火、3電気系統の異常の三つを挙げて個別に検証し、防犯カメラ画像などからまずたばこと放火の可能性を否定。次いで、イベントで使用する電気機器及び配線、分電盤、送風機、ハブボックス、天井照明、屋内配線などによる可能性は科学的根拠を提示して否定した。
唯一「後付けコンセントに接続された延長コードからLED照明のスイッチ部分までの、電圧が印加していた部分」だけが「何らかの電気的異常があり、出火原因となった可能性が考えられる」と絞り込まれていることに着目している。
「高度の蓋然性」
しかしながら、徳永弁護士らは当初から報告書が「発掘した物件や出火建物全体の損傷が激しく、発火源であると判断できる物的証拠及び着火物や延焼媒体となる物については特定できないこと」を理由にして「火災原因については不明とする」と結論付けたことの「行間」を読み取こうとした。
まず「延長コード」の位置が、正殿1階北側東寄り付近という出火場所と合致すること。発掘された延長コードに30か所以上の溶融痕が見つかったこと。延長コードの設置状況が一般観覧者による引っ張り、踏みつけによる断線、皮膜の劣化による出火の危険が予見される杜撰なものであったこと。これらを踏まえ、火災原因であると特定するに足る「高度の蓋然性」が優にあったと推測する。