県、段階的緩和目指す 経済再開の見通し発表
- 2021/9/3
- 新型コロナ・医療
玉城デニー知事は2日、県庁で記者会見し、経済活動再開に向けた見通しを発表した。1日の新規感染者数が100~200人程度まで減少した場合には、段階的解除期間に移行して、徐々に規制を緩和するとの方針を示した。
県内の新規感染者数は、2日時点で565人。過去最多だった8月25日の809人からは減少したものの、引き続き高い水準となっている。一方で、1人の陽性者が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」は沖縄本島で0.90となり、感染者が減少する目安の1を下回った。
9月12日までとなっている緊急事態宣言について、玉城知事は「今の指標では非常に厳しいと受け止めざるを得ない」と述べ、現時点で解除は困難との見方を示した。ただ、「方向性を示すことができれば、なお一層の協力もお願いできる」とも強調した。
段階的解除期間では、大規模集客施設の土日営業再開や県立施設の開館、緊急事態宣言からまん延防止等重点措置への移行を経て、最終的には、まん延防止措置解除までの4段階を想定する。対策を徐々に緩和し、経済活性化への施策を展開するという。
玉城知事は、「1日の新規感染者数が200人程度で推移すると、経済活動の再開に向けて徐々に対策が緩和していけると考えている。さらに、100人程度の水準であれば、経済活性化に向けた取り組みを展開する議論も可能になる」との認識を示した。
県の推計では、新規感染者数が前週比8割で推移すると、10月上旬ごろに大規模施設に土日の休業を要請した7月29日ごろと同水準の1日230人程度を見込む。
また、10月末ごろには、まん延防止等重点措置の適用が決まった4月9日ごろと同水準の1日110人になると説明した。前週比7割で推移した場合には、9月中旬ごろから段階的解除ができる時期を迎えられると推定した。
国との調整はこれから
県の見通しが発表される一方、玉城知事は会見で、緊急事態宣言の解除を検討する際は変異株の動向、医療提供体制など、さまざまな要素を考慮して国と調整を行い、専門家などの意見を踏まえた上で方針を決定する必要があるとも説明した。
大城玲子保健医療部長も「まん延防止等重点措置への移行は国との関係ともあるので、(新規感染者数の目安が)何人程度というのは申し上げにくい。ただ、国の指標もワクチン接種が出てくる前のものとなっている。国に対して、県の医療体制を説明しながら進めていきたい」と述べるにとどめた。
ワクチン接種の進展に伴い、政府は緊急事態宣言の解除基準について見直しを模索しているが、反対意見もあり綱引きが続いているとされる。今後は、沖縄だけでなく東京での議論がどう進展するかも注視する必要がある。
(記事・写真 宮古毎日新聞)