「こども庁」構想に迫る③真のチルドレンファースト社会の実現を

 

取り沙汰される組織案

 NHKの報道によると、水面下で動く省庁や議員間では、すでに複数の組織案が飛び交っているといいます。文部科学省や厚生労働省からは独立させた形で内閣府に置く案や、厚生労働省から保育園などの担当部局を移して文部科学省内に置く案。さらには文部科学省でもとりわけ大きな小中学校の担当部署を切り離すか否か。

 こうした裏での攻防は、官僚や議員の陰謀のようにも映りますが、それだけこども庁構想が実現に向けて動いている証拠とも受け取れます。一方で、選挙目当てだと批判する報道も見受けられますが、これまでの失敗の経緯や省庁再編・財源確保の難しさを説くものが多く、こうした報道が増えることも、実現に向けた動きが活発になっているからだと考えられるのではないでしょうか。

自民党も組織案や幼保一元化にはまだ踏み込めない

 6月に自民党が決議した「『こどもまんなか』改革の実現に向けた緊急決議」を詳しく見てみると、こうした具体的な組織案や、苦い歴史を持つ「幼保一元化」には触れていれないことがわかります。産経新聞によると、当初は幼保一元化に関する記述もあったが反対意見が相次いだために記述が削除されてしまったようで「幼保一元化踏み込まず 器づくり先行」と報じられました。つまり、過去の失敗を繰り返さないためにも、この段階で幼保一元化にはこだわらず、こども庁実現に向けた今の勢いを止めないことを優先した判断だったということです。

 こども庁の組織案についても同じです。今の段階でいきなり組織体制の具体的なところまで踏み込もうとすると、自民党内でもまとめるのが難しくなってしまうため、そこまでは触れずに、今後の政府内での調整に任せようというわけです。

 しかし、結局のところ、組織案や幼保一元化など重要な論点は決着を目指さなければいけませんので、まさに今も、裏でも表でも激しい攻防が繰り広げられているに違いありません。

真のチルドレンファースト社会の実現を!

イメージ画像(写真ACより)

 自民党からバトンをもらった政府がようやく検討を始めたばかりのこども庁構想。議論はまだ序盤、本番はこれからです。年内に政府としての基本方針が示せれれば、またオープンにもクローズドにも議論はさらに一段と活発化することでしょう。組織論に代表される、形だけの議論には決してとらわれず、日本の未来を創る子供たちを最優先にできる社会―真のチルドレンファースト社会の実現に向けて、正しい方向に進んでいくことを願うばかりです。

 じっくりと本格化してきたこども庁構想の動き。その意義や過去の経緯、現在の進捗を3回にわたるシリーズでお届けしました。こども庁は、実現すれば社会に大きな影響を与えることは間違いありません。それが真にチルドレンファーストを理念とする良い影響であるように。これからの議論に皆さんもぜひ注目してみてください。

■関連記事
「こども庁」構想に迫る①子供たちを取り巻く危機を打開できるか | HUB沖縄
「こども庁」構想に迫る②子供たちを取り巻く危機を打開できるか | HUB沖縄

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嘉数松悟

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元文部科学省職員、個別指導塾「Class K」代表。
2009年、沖縄県教育庁生涯学習振興課に配属、県立図書館事業や体験活動の推進などに携わる。2014年に文科省へ転籍。専門学校制度や高卒認定試験の担当係長を務める。沖縄県の教育課題に現場の視点で取り組むべく、2021年に帰沖。
1986年、浦添市出身。琉球大学理学部卒。1児の父。

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