接種率全国最下位 加速に向けた沖縄県のワクチン対策は万全か

 

アストラゼネカのニーズなかった?

 コロナ第5波の感染拡大を防ぐため、日本国内ではファイザー製やモデルナ製に加え、アストラゼネカ製ワクチンの使用が始まっている。緊急事態宣言が発令されている地域に重点的に配布されているが、国内ワーストの感染状況が続く沖縄県内への供給量は100回分にとどまるという。なぜなのか。

 玉城デニー知事は8月4日の記者会見で、アストラゼネカワクチンについて「県内ではニーズがみられない」と説明。アレルギーなどがありファイザーやモデルナのような「mRNAワクチン」が使えない人向けに、少量のみを確保する方針を示した。ニーズがない理由としては、①1回目と2回目の接種間隔に8週間を要する②主に40歳以上が対象で接種会場の運営が複雑になる③職域接種を要望する事業所に確認したところ希望がなかった——の3点を挙げた。

20210422_知事会見_宮古毎日新聞社
玉城デニー知事 宮古毎日新聞社提供

 県内にニーズはなかったのだろうか。県の方針の一方で、浦添市は8月28日、県とは別に独自にアストラゼネカワクチンを確保し、40歳以上の市民に対して接種を開始すると発表した。9月7日~16日までに100人を対象に予約を受け付けるという。

 市町村や県の大規模接種会場では、ワクチン接種の予約が取りづらい状況が続いている。ファイザーやモデルナの供給確保が不透明な中で、十分な量のアストラゼネカを確保しておくことは、県民に選択肢を与え接種率の向上にもつながるという点で、十分検討されるべきオプションではなかったのだろうか。

「事業所に確認しても希望がなかったと言っていたが、県から打診なんて一度もなかった」。ある経済団体幹部はそう口にし、アストラゼネカをめぐる県の対応に不満を募らせた。

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