もはや異次元の感染拡大 沖縄のコロナ
- 2021/8/8
- 新型コロナ・医療
若者の感染増加 クラブで大騒ぎも
7月31日夜、那覇市松山のナイトクラブで開かれたあるライブイベントがSNS上で話題になっている。
SNS上で公開された動画には、フロアを埋め尽くし、大音量の音楽を浴びてマスクもせず大騒ぎする若者たちが映る。ステージ上のDJが「みんながノリいいから俺飲んじゃう」と叫び、酒が持ち込まれる場面も。緊急事態宣言下では酒類の提供が停止され、感染対策を講じないイベントは中止・延期の対象になっているはずなのに……。松山のクラブイベントの動画が拡散されると、ネット上では「どこが緊急事態宣言中なん?」「これが現実。大きな感染源」などと批判が相次いだ。
第5波で深刻化しているのが、若者の感染だ。特に20代と30代が顕著で、8月に入って1日に100人を超える新たな感染者が出る日も続いている。
新型コロナの診療に当たる県内の医療関係者は「死亡率の高い高齢者の入院が少なくなっているのはワクチンの効果とみていい。それ自体は医療人にとって負担減になるが、その代わり壮年層が増え、若者でも入院に至るケースが増えている」と解説する。
傾向はデータからも裏付けられる。感染者数に占める60代以上の割合は、昨年8月以降多い時期で4割を超えて5割に迫ることもあったが、7月に入ってからは1割前後に落ち着いている。
「セルフロックダウン」に反発も
突発的ともいえる感染急拡大を受けて、玉城デニー知事や県内医療界、経済界、市町村の代表者らが8月1日、県民に2週間の外出自粛や他都道府県、離島との往来自粛などを要請する緊急共同メッセージを発表した。県内の感染状況が欧米では「ロックダウン相当のレベル」だと強調し、玉城知事も「セルフロックダウンのつもりで行動を抑制してほしい」と呼び掛けた。
ただ、この緊急共同メッセージには早速反発も出ている。県ホテル協会の平良朝敬会長は3日、県議会の赤嶺昇議長に対して、メッセージ撤回を要望。平良氏が率いるホテル大手のかりゆしグループでもコロナ下で県外客のキャンセルが相次ぎ、具体策や補償なきメッセージが突然出されたことへの怒りをぶちまけた。玉城知事の県政運営への批判を強める赤嶺議長も、「セルフロックダウン」という表現に「自ら責任をとらないのと同じ」などと苦言を呈したという。
5月23日から緊急事態宣言に入り、自粛生活が続く中で緊急共同メッセージは県民に届いているのだろうか。ソフトバンク子会社の「Agoop(アグープ)」が提供するデータよると、8月7日土曜日夜間の人出は、那覇市内の調査地点4カ所のうち3カ所で前週(7月31日)より増加。特に那覇空港駅は80.1%の増加率で、多くの往来があったことが窺える。県庁前駅は37.8%、国際通りは3%増え、牧志駅のみ11.4%の減少だった。
1週間がたった8日も574人と過去3番目に多い感染が確認されている。減少に転じる兆しはまだなく、昨年から続く長いトンネルの出口は見えていない。
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