脳卒中当事者で支え合う会、沖縄初開催 主催する理学療法士の想い

 

県内脳卒中当事者は約9千人

 2016年の沖縄県の調査によると、脳卒中での治療を受けている推計患者数は9千人(県人口の0.6%)だという。本県の死亡原因の第3位で、命を取り止めても言語や連動、認知機能に障害などの後遺症が残ることも多く、脳卒中は認知症に次いで介護が必要となる原因の第2位となっており、患者や家族の日常生活に大きな影響を与える。

 県医師会の「沖縄脳卒中地域連携委員会」が2019年に発表したデータによると、脳卒中に罹患した患者に占める脳出血の割合が全国に比べて高く、全国の1.7倍の30%に上る。特に男性は30代から60代までの働き世代が発症しやすいという。

「当事者の支援」必要性訴える

 島袋さんは「県内で社会復帰支援や当事者が相談し合うピアサポートの取り組みが遅れている」と指摘する。「沖縄では、10年ほど前までは患者と家族の団体がありピアサポートともいえる活動を行っていたようだが、団体が解散しているため、現状は脳卒中当事者がピアサポートとして利用できるものはほとんどない。未来へつなぐ会はその一つの手段として、必要としている当事者の役に立てるものと考えている」と話す。

 また、支援体制の確立に向けては、「がんのピアサポートのように自治体との連携が不可欠。自治体や企業の協力と、会の質を担保するためにファシリテータや脳卒中専門ピアカウンセラーの養成が必要である」と話す。

 「医療従事者とピアカウンセラーが有志で行っている活動であり、参加費は運営費に充てられている。継続的な運営及び発展のためには人材確保や資金的な課題もあり、自治体や企業の協賛・後援が必要と考えている。地域に根ざしたものとして多くの当事者の拠り所になるためには、自治体と共同して活動していきたい」

 「ピア(仲間)同士が支え合うために集まっても、ノウハウが定着していなければ世間話や愚痴の言い合いになり、励まし合うどころか逆に気分が落ち込んでしまい逆効果となるリスクもある。体系的に学び実践を積んだピアカウンセラーやファシリテータの養成も急務である」と訴える。

 今後は対面での当事者会の開催も考えているといい、また、当事者に限らず、その家族や医療介護従事者にも当事者会の存在を呼びかけている。「家族には家族を対象とした家族会に参加してもらうこと、医療介護従事者には当事者とのより良い関係構築の一助となってほしい」と語る。

 次回の脳卒中当事者会「未来につなぐ会」は、9月にオンラインで開催を予定している。

<問い合わせ先>
島袋さん:michi.selfish@gmail.com

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