神里原から国際通りへ ガーブ川が繋ぐヒストリー
- 2021/8/2
- 社会
姿の見えない川が流れる牧志の地下
神里原大通りと直結していた通りが現在の浮島通りだ。もともとはガーブ川に架かる千歳橋を由来として「千歳橋通り」と呼ばれていた。戦後浮島ホテルが建ったことから、次第に浮島通りと呼ばれるようになる。ガーブ川に沿うように公設市場や露店が建てられていったため、川の上に店を出す強者まで出てきた。
しかし、大雨が降る度に川は氾濫を起こし、その都度人々は危険に晒されていた。そこで那覇市は思い切った改修工事に踏み切る。暗渠工事によってガーブ川に蓋をしてしまったのだ。さらに川の上を這うように巨大な水上店舗まで建ててしまう。
この店舗の長さが凄い。
農連プラザ目の前の太平通りから浮島通りを横切り、国際通りに突き当たるまでという距離なのだ。水上店舗はそこで途切れるものの、地下暗渠はまだまだ続き沖映通りを真っ直ぐ進みジュンク堂ビルの後ろまで続く。
これだけ長い川に蓋をしたということは、それまで架かっていた数ある橋も姿を消すことになる。しかし未だ一部は地下に埋もれているという。千歳橋の他にも太平橋、新栄橋、栄橋、むつみ橋などがあり、姿は無いが今でも通り名として残っているのはそのためだ。
最も分かりやすいのは国際通りの「むつみ橋交差点」で、今でも交差点の歩道を注意深く見てみると、モコっと不思議に盛り上がった部分があり、橋の名残を見て取れる。
しかも80年代頃まではむつみ橋交差点に歩道橋が掛かっており、歩道橋から水上店舗へ直接入れるようにもなっていた。現在でも水上店舗内で営業しているお店がいくつかあるので、ぜひ足を運んで、貴重なヒストリーを感じて欲しいと思う。