県内で感染急拡大 354人と過去最多を更新
- 2021/7/28
- 新型コロナ・医療
沖縄県は27日、新型コロナウイルスで、県内で過去最多となる354人の新規感染を確認したと発表した。これまで感染数が最も多かった「第4波」のピーク、5月29日の335人を上回った。緊急事態宣言期間で県の打つ手が少ない中、これまでにない感染急拡大が起きている。
県内で感染が急速に拡大しているのは、県民に自粛疲れが広がっているほか、感染力が強いインド由来のデルタ株への置き換わりが進んでいることも要因とみられている。
第4波の「底」にあたる7月12日の28人から、新規感染者数は半月で10倍以上に増加した。同じ火曜日同士で比べても、27日は2週間前の5倍以上となった。感染拡大のスピードがいかに速いかが分かる。
県の糸数公医療技監は27日のオンライン会見で、「特定の大きなクラスターは確認されていない。食事を介して家庭や職場で感染が広がっている。沖縄本島では市中感染に近く、熱があったりした場合はコロナがかなり疑われる状況」と危機感をあらわにした。
デルタ株の拡大を懸念
感染拡大の要因の1つとみられるデルタ株と疑い例の検出率は、7月上旬の3~4%程度から23日時点には33.7%と3割を超えた。特に沖縄本島中部地区で疑い例の判明が多く報告されており、23日に新たな事例として報告された69人のうち25人が同地区だった。
今後はデルタ株の置き換わりが他地区でも進み、多くの人口を抱える那覇市周辺でさらに感染者が増える可能性がある。県は、ワクチン接種を進めるなどで感染の抑え込みを図っているが、効果は不透明だ。
県専門家会議の委員だった中部病院の高山医師は27日、自身のFacebookを更新し「このまま大きな流行に至った場合には、多くの重症者や死亡者が発生することが予測されます。コロナに対応する入院医療だけでなく、救急医療全般が持ちこたえられなくなる可能性が高まっています」と警鐘を鳴らした。
高山医師は「沖縄県では、急速な感染拡大が生じています。同様に本土でも流行が生じていることから、全国的な流行に巻き込まれながら、デルタ株への置き換わりも重なって、8月上旬にはかつてない規模の流行に至ると考えられます」とも述べた。
県内で新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、玉城デニー知事は26日、県庁で緊急会見を開き「感染がリバウンドして増加に転じている。スピードも増しており、急拡大が懸念される」と語り、新たに建設業関係者へのワクチン優先接種も検討する方針を示した。27日には、知事会見はなかった。
県によると、1人の陽性者が何人に感染させたかを示す「実効再生産数」は、沖縄本島で2.07に上昇した。今後に予測される感染の急拡大を抑えるため、県にはこれまで以上に明確なメッセージの発信と、より強いリーダーシップが求められている。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)