琉球舞踊・柳清会ぺルー支部与那嶺さん 現代的スタイルで魅了

 

 柳清本流柳清会は、那覇市に本部を構え、初代家元・比嘉清子氏の娘・倫子氏が二代目として家元を受け継いでいる。清子氏は、古典女踊の名手と知られ、演目「柳」「芋引」を復活させるなど、戦後の舞踊界に大きく貢献した。

  エリカさんは、11歳の時にはじめて沖縄を訪れ、初代家元・比嘉清子氏の紹介で琉舞研究所で約2ヶ月間、踊りを習った。その後、沖縄県費留学生として18歳の時に再び沖縄を訪れた。「手足の動きだけでなく、琉球舞踊の『心』が知りたかった」といい、沖縄県立芸術大学で1年間学びながら二代目・倫子先生の琉舞研究所に通い、踊りを磨いた。

天皇歓迎行事で「舞」披露

  沖縄からアルゼンチンに帰国した数年後、天皇・皇后両陛下を迎えて開かれた歓迎行事で琉球舞踊を披露するという大きな機会が訪れた。「かせかけ踊り」を披露し、旅に出た恋人を思い糸を紡ぐ心を、ゆっくりとした足さばきとわずかな動きに込めた。そんなエリカさんの舞に天皇陛下は「素晴らしい踊りでした」と、握手を求めたという。

琉球舞踊を披露し、陛下と声を交わす与那嶺エリカさん=1997年6月(本人提供)

 その後、県系ペルー人3世の比嘉アロルドさんとの結婚を機にペルーに引っ越し、柳清本流柳清会ぺルー支部を設立した。

コロナ禍で「踊り・文化・アート」の学び場を展開

 柳清本流柳清会ペルー支部では昨年から、新型コロナウイルス感染拡大による影響で練習を対面からオンライン指導に切り替え活動している。琉球舞踊を柱としてバーチャル形式で沖縄や日本文化を学ぶ「踊り・文化・アート」プログラムを新たに立ち上げ、踊りにおける動作や表現、歌詞を舞台での芸術表現と結びつけて学んでいる。

 小さい子ども向けのクラスでは、絵や歌など遊びの要素を取り入れ、遊びを通して身体について知るほか、踊りの中でどうしてその動作をするのかを学んでいる。

 娘2人が踊りの練習に参加しているという又吉ハビエルさんは「先生から琉球舞踊を教わりながら、さまざまな世代が沖縄の文化、伝統、価値観に近づくことができる。ウチナーンチュの習慣や伝統、文化を受け継いでいて誇りに思う」と話す。

 エリカさんは「踊り文化アートのプログラムを通じて琉球舞踊の普及に努めていきたい。そして生徒のみなさんに様々な芸術表現を教えていきたい。沖縄と南米の文化・気持ちを結合、融合して新しい文化を作って届けたい」と語った。

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