遠山光一郎の「沖縄VSアジア国際都市」3:=国際的知名度 、ブランディング=

 

 シンガポールでも世界各国からのドラマ、映画撮影の招致にはやはり力を入れている。 2017年にシンガポールで撮影され翌年に公開されたワーナーブラザーズ配給のハリウッド映画『クレイジー・リッチ・アジアンズ』はアメリカ、アジア地区でシンガポールの大きな宣伝になった。シンガポール政府観光局の全面協力でマリーナベイサンズ、ガーデンバイザベイなどの観光名所や、私が運営に関わっている有名イベント会場「チャイムスホール」でもミシェール・ヨーなどアジア系有名俳優が集まり、重要な挙式シーンが撮影された。 

チャイムスホール

 ハリウッドの撮影会社との会場契約交渉、撮影オペレーション確認、VIP対応、撮影のために通行禁止となった道路での一般客誘導など、撮影場所を運営する側からすると本当に大変だったが、とてもいい経験になった。『クレイジー・リッチ・アジアンズ』は日本では人気が出なかったようだが、東南アジアではヒットしたと言える映画となり、各国の企業を訪れる際に「チャイムスホールで撮影されていたね。いいシーンだった」と口々に言われてとてもいいアピールになった。シンガポール知名度の向上にも大きく貢献した映画になったと実感した。

前例のないユニークな手法で沖縄ブランド力強化

 沖縄は規模、予算、タレント活用でハリウッド映画は難しいかもしれないが、日本らしくアニメを活用したやり方も検討できるのでないであろうか。ドラマや映画についてはアジアでは香港が、世界的には最近では韓国が成功をしている。日本はドラえもんなどのアニメが子どもを中心として世界的に有名になった。従来のアニメは最近あまりパッとしないが『進撃の巨人』や『鬼滅の刃』など、大人も楽しめるアニメは世界でもヒットしており、まだまだ日本は力があると思う数少ない分野である。

 少し話が飛んでいるようにも感じるかもしれないが、前例がなく他がやらないやり方を考えることも頭の運動になる。何れにしても、他の成功例を研究するのはいいが、真似るのではなく沖縄の良さを今一度考えることが大事だ。従来の「予算だけをかけるやり方」から脱却して、ユニークな方法でウチナーブランドの再構築が必要なのかもしれない。SNSが重要なマーケティングツールになった現在において、世界の国際都市とブランド力を競い合うことは可能な環境になってきているのだから。

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