遠山光一郎の「沖縄VSアジア国際都市」3:=国際的知名度 、ブランディング=
- 2021/6/28
- 経済
沖縄ブランドを貴重な財産に
私は数年間、東南アジア各国での観光イベントやキャンペーンに関わってきた経験から、この「Be.Okinawa」沖縄ブランドの活用による知名度向上は、個人的にもビジネス的にも役に立ち、ウチナーンチュ一人一人の貴重な財産となるであろうと感じている。
対照的にシンガポールが行っていた「Your Singapore」という観光スローガンがあったが、あまりいい例ではなかったように感じる。今は静かになくなってしまった。シンガポールは歴史も浅く、資源のない都市国家であるため、観光地としての差別化が難しい背景があるのだと思う。
シンガポールは建国独立1965年の若い国であり、国際的な知名度はここ10年で大幅に向上したといえ、同じような背景や規模を持つ香港と比較してもその知名度はまだまだ小さいものであると感じる。
しかしプロジェクトごとのイメージ作りは非常にうまい。世界的な航空会社の「シンガポールエアライン」や世界トップ評価の「チャンギ空港」はシンガポールブランド構築に大きく貢献している。近年でシンガポールの知名度に一番貢献したのはその巨大な斬新なデザインで一躍世界的に有名になったIRプロジェクト、マリーナベイサンズでないであろうか。その圧倒的な独自性と規模感は世界中の各分野メディアで大きく取り上げられた。
ブランド再構築の好機
沖縄も首里城の復興とともにブランドの再構築や、観光の目玉となっている沖縄美ら海水族館などの強化、新しい目玉の生み出しなどが今後のキーであるのかもしれない。2000年に沖縄で行われたサミットが世界的な沖縄アピールになったように、シンガポールでもアメリカのトランプ元大統領と北朝鮮の金委員長(現総書記)との世紀の会談などさまざまな国際会議誘致に力を入れてアピールしている。
芸能関係、メディア関係が国際的知名度を作る役割も大きい。香港は言うまでもなく映画やドラマで有名であり、ジャッキー・チェンなどハリウッド映画で活躍する俳優陣やロケ地招致などもアジア内で先行していた。
韓国もドラマ、ポップス、映画のヒットで大きな影響力があることからも、国際的な知名度を上げるのにとても有効な方法であると言える。沖縄でも台湾や韓国のテレビ番組・ドラマのロケ招致に力を入れているであろうが、まだまだ大きな成果を作り上げるには至っていない。10数年前に香港の有名俳優たちによる映画『恋戦沖縄』が沖縄で撮影され、 香港のみならず中国語圏である台湾やシンガポールでも上映されたが、残念ながら大きな話題にはならなかった。やはり成果を上げるには映画自体の大ヒットが欠かせない。