オリオンビールは「沖縄の公器」であり続けるか

 

 街を歩けばそこかしこで目に入るオリオンビールの提灯。三線、海ブドウ、泡盛にゴーヤチャンプルーと沖縄を象徴するものは数多くあるが、オリオンビールもまた、沖縄を語る上で外せない存在だろう。

 沖縄がアメリカの統治下にあった1957年、「復興には製造業が欠かせない」との思いから、味噌・醤油製造会社を経営していた具志堅宗精氏が「沖縄ビール」を創業した。59年には「オリオンビール」の販売を始め、同年に社名も「オリオンビール」と改称した。その後、72年の本土復帰と同時に導入された酒税の軽減措置にも支えられて順調に事業を拡大したが、軽減措置の廃止が既定路線となるに及び、経営強化策として2002年にアサヒビールと提携し、県内の「スーパードライ」の生産を担うことになった(結局、酒税の軽減措置は現在も継続中)。

 さらに一昨年には、創業家が保有する株の売却をめぐって創業家と会社経営陣と折り合いがつかなかったことがきっかけで、オリオンビールは野村ホールディングスと米投資ファンド・カーライルによって買収されることになる。社長にはカナダのスポーツウェア大手の日本法人社長を務めていた早瀬京鋳氏が就いた。

酒税軽減措置撤廃でも生き残れるか

 オリオンビールは、沖縄復帰特別措置法に基づく酒税の軽減措置を受ける県内唯一のビール会社だ。軽減措置の対象は、「沖縄の本土復帰前から引き続いて酒類を製造していた製造場が、 県内にある製造場で製造し、 県内に出荷する酒類」ということになっている。

 泡盛業者46、焼酎業者1、そしてオリオンビールが対象事業者になっていて、20%の軽減を受けるビールでは、本土で70円となる酒税が沖縄では56円に軽減される(350㎖の場合)。軽減額は年々漸減しているが、それでも2019年度で13億3000万円にのぼる。

 ただ、軽減措置の期限は来年5月14日まで。沖縄県は、「ビール産業においては量販店における競争の激化、本土大手企業 に対抗するための商品開発費等が大きな負担となっている」として、10年間の軽減措置延長を求めている。

「コロナ禍で県内の酒造業が苦境にあえぐ中、さすがに延長は認められるだろう」

 県庁内にはそうした楽観論もあるが、菅政権と玉城県政の政治的駆け引きもあり、予断は許さない。オリオンビール自身は、「軽減措置に対する考え方は、県酒類製造業連絡協議会でとりまとめているので、個社でコメントすることはない」(広報)とする。野村・カーライルによる買収で、「オリオンビールは県民のビールではなくなった」とされることも多いが、そもそも買収は軽減措置の撤廃を見越した経営強化を意図したものとの見方もある。

 こうしたなかで、今後のオリオンビールはどこへ向かうのか。

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