県内初 高齢者通院付き添いサービス 医療と介護の架け橋担う

 

 もともと居宅ケアマネージャーをしていた大城代表は、加齢に伴う身体機能や認知面の低下により一人で通院が難しくなった高齢者を目の当たりにしてきた。家族が仕事で忙しかったり遠方にいたりなどの理由で病院まで付き添えないことがある。せっかく退院できたとしても、その後どのように通院してもらうかの支援も課題だ。

 また、高齢者本人が介護施設や有料老人ホームなどに入居している場合でも、多くの施設では、病院までは家族が付き添うことになっている。さらに、施設の職員が付き添う場合でも、場当たり的で施設本来の業務に含まれていなかったことなどから、根本的な解決方法にはならないため、病院に付き添うサービスが必要だと感じていた。

 しかし、病院受診に付き添う支援は、介護保険と医療保険の狭間にあり、制度で解決することが難しい現状があった。それでも大城代表は、「必要とされる方がいるのであれば」と、介護保険外サービス(全額自費で利用)で事業を始めた。

家庭の介護力低下

 沖縄県の高齢者(65歳以上)の人口は、沖縄県企画部市町村課「住民基本台帳年齢別人口」によると令和2年(2021年)1月1日現在で約32万2千人で、総人口に占める割合は22%と超高齢化社会を迎えている。

これまでの高齢者人口(沖縄県子ども生活福祉部高齢者福祉介護課資料より)

 高齢化は今後も進み、2023年には沖縄県も約4人に1人が65歳以上の高齢者になるといわれている。さらに、一人暮らしや夫婦のみの高齢者世帯は増加し、64歳以下の人口は減少し続ける見込みで、「家庭内の介護力」は弱まっていくことが予想されている。

 また、沖縄県では、2019年時点において、全国と比べて介護が必要な状態の高齢者が多く、要介護3〜5の認定率が全国1位だ。その一方で、高齢者が外来で受診する率が少なく、入院をする率や時間外受診率が高い。一般社団法人中部地区医師会の末永正機理事は、「別の言い方をすれば、沖縄県は、一人暮らしの高齢者や介護が必要な高齢者が多く、様々な理由により定期的に通院できず、疾患が重症化してから救急搬送されて入院している構造だ」と指摘した。

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