契機の敗戦

　福永にとって新人王戦は2年越しの挑戦だ。前回も順調に白星を重ね迎えた一昨年11月、全日本新人王決勝戦への出場権をかけた西軍（西日本）代表決定戦のリングに福永の姿はあった。相手は大阪・の前田稔輝（まえだ じんき）。ここでも豪快なKO勝ちを狙ったが・・

　「あの時は（パンチを）振り回して振り回して、でも前田選手に一発も当たっていないかなというくらいにあしらわれました。本能が出てしまって、ノーガードで行くシーンも多かった。それだとカウンターを狙ってくる選手には通用しないというか・・」　

　結果はキャリア唯一の黒星となっている判定負け。相手の前田はそのまま全日本の決勝も制し、新人王の座についた。福永にとって、力だけでは勝てないレベルを体感したこの苦い経験が、ヨガを練習に取り入れ自身の精神コントロールを勉強するなど、マインドでも一皮むける契機となった。