「90+4分」で生まれた同点弾の“価値” 残留争いのFC琉球、貴重な勝ち点1

 
後半アディショナルタイムで同点弾を決め、笑顔を見せるFC琉球の柳貴博=9月30日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(長嶺真輝撮影)

 試合開始から90分が経った。スコアボードに表示されたアディショナルタイムは4分。スコアは1ー2。ホームのFC琉球が追い掛ける展開だ。

 J3で20チーム中18位と残留争いの渦中にあり、負けられない琉球が最後の力を振り絞って猛攻を仕掛けるが、なかなかシュートまでいけない。引いて守るAC長野パルセイロにことごとく跳ね返される。しかし最後のワンプレーで意地を見せた。

 DF福村貴幸からの左クロスにFW金崎夢生がダイビングヘッドで合わせた。相手GKが横っ飛びで防いだが、右サイドを駆け上がったDF柳貴博が押し込み、土壇場で同点に。スタンドが興奮に包まれ、スタジアムにゴールの余韻が残ったまま、プレー再開直後に終了のホイッスルが響いた。

 9月30日に行われたこの試合を2ー2(前半0ー0、後半2ー2)で引き分け、琉球の通算成績は9勝15敗5分。勝ち点は32となり、順位は18位のまま。金鍾成監督が就任してからの2試合は1勝1分となっている。

結果で表した「諦めない」姿勢

後半32分、左サイドからゴール右隅にシュートを決める福村貴幸(左奥)

 攻撃的サッカーを志向する金監督の下、これまでに比べて前線からのプレスを強めた琉球。前半は得点こそなかったが、相手陣地でボールを奪ったり、中盤での競り合いを制したりして主導権を握った。

 後半は、福村が「疲れが出た。ラインを上げないとプレスを掛け切れなくなるし、くさびを刺された時にパスを出されてしまう」と振り返った通り、攻め込まれる場面が増えた。すると後半24分に先制を許す。32分に金崎のアシストを受け、左サイドを駆け上がった福村のゴールで同点に追い付いたが、4分後には再び勝ち越された。

 それでも最後の最後に追い付いて引き分けに。この日は琉球対長野の終了前、19位のSC相模原が20位のギラヴァンツ北九州に勝利し、勝ち点を31としていたため、負けていれば得失点差で19位に沈んでいた。19位は日本フットボールリーグ(JFL)との入れ替え戦圏内となる。シーズン最終盤に向かうこのタイミングで、「勝ち点1」を獲得して18位をキープした意義は大きい。

後半アディショナルタイム、こぼれ球を押し込む柳

 10月7日にある次戦のカマタマーレ讃岐戦もホームで行う。柳が言う。

 「サポーターの方々が誰1人諦めてないというのが伝わってきたし、選手も誰1人諦めてなかった。その結果が最後のゴールにつながったと思います。ホームでは勝たないとけないけど、最後に勝ち点を拾えたことは本当に大きい。まだ残留争いで厳しい状況が続きますけど、来週もまたホームで試合ができますし、まずは目の前の試合に勝っていきたいと思います」

 試合の途中で気持ちが切れ、大量失点で敗れる試合もあっただけに、「諦めない」という姿勢を結果で表したことはサポーターにとっても心強く感じたことだろう。

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