チョコ「OCA」県内展開 ベトナムカカオ産業へ適正還元の恩返し

 

 この「不利な価格交渉」を改善させようと、OCAは売上利益を現地農家に割合で配分する仕組みを採っている。
 「例えば、カカオ豆をメーカーがこれまでの2倍の値段で仕入れるとします。一見すると倍増して改善しているように映りますが、まだまだフェアな相場だとは感じません。
 チョコレート製品の小売価格は、カカオ豆の仕入れ値の10倍~30倍です。それだけの付加価値が乗せられているわけですから、最終的に出た利益を割合で還元するべきです。地域資源を使ってしっかりと稼げる農業が出来れば、若い人材も流出せずに産業が盛り上がる。そしてその上にまた二次・三次と産業が積み重なっていきます。各地のカカオ生産国で同じようなケースが少なからず起きているはずです。私はこのバリア=ブンタウ省をモデルケースに世界に広げていきます」(野澤氏)

工場での作業風景(ベトナム バリア=ブンタウ省)

新規農地で生産量底上げも

 理想の未来へ向けて、着々と仕込みも進めている。
 OCAの目的は「カカオ農家の健全経営」に加えて「カカオ産業の育成と創造」でもある。シーポイント社では、新規農地への作付けを行い生産量の底上げを目指す。

 野澤氏は「2021年5月には、60haの農地に50,000株を植える計画を進めています。将来的にはカカオの運搬や収穫など、できるところは機械化していきたいと考えています。安心・安全のオーガニック作物は生産者があってこそ。今後はチョコレートのパッケージに“収穫、発酵、乾燥の時期”“シュガーなどの副材料の産地”が分かるQRコードを掲載します。食に関するビジネスを行う上では、正義を持ってやっていきます」と展望を語る。

県内でも各種商品販売

 OCAブランドの商品は、沖縄市のロジャーズマーケットと宜野湾市のハッピーモア市場で取り扱いがあるほか、デパートリウボウで2/14まで開催中の「スイーツガーデン」で出店中だ。「CACAO ヌガティーヌ」の他にも、棒状チョコレートやドーナツなどさまざまな商品をラインナップしている。

出店しているイベントでは客に、商品が持つ物語まで伝える(那覇市久茂地 デパートリウボウ)

 バレンタインデーでチョコレートを手に取る機会の多い2月。カカオ生産者に理解を深め、感謝の気持ちを持つ良い機会かも知れない。

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