チョコ「OCA」県内展開 ベトナムカカオ産業へ適正還元の恩返し
- 2021/2/10
- 経済
担当者である、株式会社シーポイント沖縄支店の山内千夏さんは次のように話す。
「ベトナムは世界全体の0.1%に満たないカカオ生産量ですが『Cocoa of Excellence2019』という大会でTOP50に選ばれたカカオ農家のうち、2軒の農家が入賞するなど業界からは高品質で知られています。
しかし、カカオ豆の卸値が安いことから辞めてしまう農家が増えているのが現状です。ベトナム農業農村開発省の発表によると、国全体のカカオ栽培面積は2012年が約25,700haに対して現在は約6,000haとおよそ1/4になってしまっています」
現地での生産から商品化まで
カカオ豆の生産は重労働である。
苗から花を咲かせるまで最低3年。その間、毎日水やりを行って日陰の環境を維持する。収穫されたカカオポッド(実)を刃物で叩き割って実を取り出し、何十キログラムもあるカゴを背負って移動する。
山内さんはOCAの始動について「弊社のベトナム現地法人に、カカオ業界関係者から2018年の夏に取引価格が低いと相談を持ち込まれたのがきっかけでOCAの事業が始まりました。地域の優秀なカカオ産業を守り、生産者の利益を確保するのが目的です」と話す。
OCAではカカオ豆の調達から加工・販売までを一貫して行う。サプライチェーンを持つことで収益構造をコントロールし、生産者に適切な利益を還元することができる。
「提携農家が作ったカカオ豆を、発酵・乾燥・焙煎・粉砕をしてカカオニブを作ります。それを練り上げるとチョコレートが出来上がります。ここまで一貫してベトナムの工場で行います。また、このカカオニブという状態のものを日本に輸入して、国内各地域の食材と組み合わせたお菓子を作っています」
OCAブランドの新商品開発にも意欲的だ。
「今後はベトナムのカカオと沖縄のマンゴー・バナナなどの食材を組み合わせたチョコレートや、カカオを原料としたコスメ商品開発にも取り組んでいきたいです」
このプロジェクトでは、あるキーマンとの出会いも大きかったという。
「日本企業である私たちが、現地農家の方と協力関係を作ることができたのは、現地のカカオ業界の権威であるタン氏との協業が大きかったです。彼は約20年間研究を続け、ベトナムのカカオを世界に広めたいという想いがあり、人材育成にも尽力しています。私たちと共同出資で工場を設立するなど、バリア=ブンタウ省のカカオ産業に対して同じ志を持ってくれています」
農家への敬意を収益割合で還元
不利な価格交渉でカカオが買い叩かれているという現状について、シーポイント創業者の野澤浩樹氏は次のように話す。
「チョコレートと聞けば欧米諸国をイメージする方が多いと思いますが、その原料であるカカオがどこで生産されているか分からない人も少なくありません。本来だと先進諸国では環境的に作ることができないカカオを作ってくれているのですから、(赤道に近くカカオ生産が可能な)カカオベルトの人々には敬意を払うのが筋だろうと思います」