半生を動画で公開

　そして、五月さんはコミュニティの中で、これまで蓋をしていた自身の半生をアニメーション動画で公開した。

　自分をさらすことにためらいもあったが「私がこうやって自身の経験を発信していくことで、他の経験者もリアルな話がしやすくなる。孤独に見えても苦しい時は助けを求めてほしい」という。今の五月さんが、当時の自分自身にかけてあげたい言葉「あなたのせいじゃない。自分を責めないで」「ひとりじゃない」「自分を信じて周りを信じて一歩踏み出そう」「今ここでこの負の連鎖を断ち切ろう」。その言葉を動画に込めた。

心の豊かさを見つけてほしい

　「環境を変えることはできない。確かにその通りだと思う。けれど、『自分自身を信じる』ことができれば、どんな環境にいても乗り越えられる可能性を感じています。コミュニティを通して人と人が繋がる事で、自分を信じて希望を見出し、一歩踏み出せる。貧困＝貧しさではなく『命どぅ宝、まくとぅそーけーなんくるないさ（命は宝。正しいことをしていればどうにかなる）』の真の意味で沖縄県民の持っている心の豊かさを見つけてほしい。子どもは現時点で豊かな心を持っているのに、取り巻く環境や周りの言葉でくすんでいってしまう。それを守りたい」

　五月さんは「貧困問題に対応する方法や手段は多種多様。けれど、本質的な問題はそんなに多くない気がする。本当の問題ってなんだろう。そんな事をRich Heartプロジェクトで考えていきたい。『あぁ、こんな家庭もあるんだな』で良いと思う。育ってきた環境をみんなでシェアする事から始めたい」と呼びかけている。