演者目線で“基盤”を作る フリーランスつなげる「レフトステージ」
- 2020/11/20
- 経済
表現活動としてのアートや文化、エンタメを持続していくためには当然、利益を生まなければならないため、ある程度の「産業化」が必要になる。芸術と産業を結びつけた時、ともすれば「金儲けのためのアート」や「純粋ではない」もしくは「たかがエンタメ」などというイメージで漠然と否定的な意見を持つ人もいるかもしれない。しかし、そのような意見を持つ人も含めて、この社会でアートやエンタメをほんの少しも堪能していないという人は皆無に近い。
久保田さんは「日本は特にアートやエンタメに関して、あまり理解があるとは言えない。そうした状況が続いてきて現在のような社会構造を形づくってしまっている。文化的なものやエンタメを享受することは人間的な豊かさにつながる。これから後の世代が、やりたいことを自由にやれる社会を形にするためにも、芸術を組み込んだ上で社会が循環するシステムの構築は不可欠だと思う」とヴィジョンを語る。
ステージの「上手」から
社名の「レフトステージ」は演劇用語で舞台(ステージ)の位置を示す「上手」の意味。ステージに立つ人の視点で客席に向かって左側の位置のことだ。現在社員は4人で、それぞれが演劇や音楽などエンタメに携わり、現場を知るプレーヤーでもある。
「板の上に立つ、演者側の目線をいつでも大切にしたいという気持ちを込めた」と大坪さん。会社、プレーヤーとしての目線は、これからの業界や社会を担う次世代へも向いている。「見せたい、伝えたいという表現の気持ちはあるのに、それを伝える場所がない現状がもどかしい。自分たちの事業では『場』を作り、様々な人たちが出会うことできっかが生まれ、ひいては表現も仕事もきちんと『産業』として循環していくという意味でのエコシステムを実現したい。演劇だと、“観たい”の中には一定数の“やりたい”も含まれていると思う。そういう人たちをつなげて、業界が動いていく連鎖を生み出したい」と展望を語った。
久保田さんは「表現活動については、生き様と生業とは違う。やりたいからやる、好きだからやる、という生き様をきちんと肯定できる社会を実現することが、様々な面白いものや良いものが表現として生業になる可能性が高まると思っている」と強調する。「エンタメを、今のように見下げられた状態ではなく、きちんとステップアップさせた状態に整えて、後続につなげるための種をまいていきたい」と話した。
<株式会社レフトステージのWebサイト>