首里城再建 配置の向き巡り「大龍柱を考える会」が公開講演会
- 2020/11/1
- 社会
永津氏「絵図は『横向き』の意味まで持たない」
永津禎三氏は絵画の制作者・研究者としての立場から、寸法記に基づいて大龍柱は「向き合っている」とする技術検討委・高良倉吉委員長の見解について「誤解がある」と指摘した。
視点を固定して遠近感など人間の目に映るのと同様に描く透視図法などの近代的な見方が成立していない時代や地域の絵図は、「認識されやすい向きの形で描かれただけであり、必ずしも『横向きの図』が正面から見た時に横向きに立っているということを示すわけではない」と説明。高良氏が龍柱が向かい合っている根拠の1つとしている寸法記についても同様のことが言えるとし「横向きに立っているという意味まで持っているとは言えない」と述べた上で、「絵図は描かれた歴史的な文脈を踏まえながら見なければいけない。近代的な投影法で見ていては誤解を招くということを理解してもらっていない」と強調した。
永津氏は高良氏が寸法記の絵図について、琉球新報の記事で「正確な資料」で「単なる絵図ではなく建築情報だ」という認識を示していることに対し「第一級資料であることも否定していないし、『正確さ』も、対象物を見て描いたか引用したかも問題にしていない」とする一方、「言葉を『絵図』から『建築情報』に変えただけでは、当時の絵師の視覚表象の仕方が変わるわけではない」と疑問を唱えた。また、技術検討委には龍柱が向き合う根拠についての説明責任があるとし、詳細な説明を求めた。