玉城知事「民意を軽視」 政府、辺野古移設で大浦湾側の埋立着工

 
辺野古移設で大浦湾側の埋め立てが着工されたことを受け、会見する玉城知事=10日、沖縄県庁

 米軍普天間飛行場の辺野古移設で政府は10日、移設先で海底に軟弱地盤の存在が指摘されている大浦湾側の埋め立てに着手した。玉城デニー知事は、同日夕に県庁で会見し、「県民の民意を軽視していると言わざるを得ない」と強調した。

 埋め立てが着手された大浦湾側の工事は、軟弱地盤を改良するために7万本以上の杭を打ち込む作業が予定されている。最も深い地点では、軟弱地盤は水面下90㍍に及ぶ。移設完了までは12年が想定されているという。

 移設に反対する県は、沖縄防衛局が軟弱地盤に対応するために申請していた工法変更を不承認とし、国が県に代わって承認する「代執行」でも裁判闘争を繰り広げてきた。

 ただ、不承認では昨年9月までに最高裁で県側の敗訴が確定。代執行についても、昨年12月20日に福岡高裁那覇支部が県敗訴の判断を下した。県は上告しているものの、国は同28日に代執行を行い、工事が可能となっている。

 玉城知事は会見で、「県が再三求めてきた真摯(しんし)な対話に応じることなく、知事の権限を奪う代執行となり、さらに工事の着手が強行されたことは、極めて乱暴で粗雑な対応がなされたと言わざるを得ない」と力を込めた。

 また、「これから進められていく難工事を注視し、強い監視の目を向けていかなければならない」と述べたほか、国に対して改めて対話を求めた。

 一方、林芳正官房長官は同日午前の会見で「着実に工事を進めることが普天間飛行場の一日も早い全面返還につながる」と説明した。


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